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着物の袖、袂(たもと)について

着物の袖は洋服と違って縦長のヒラヒラ?した形状になっている。着物を着慣れないうちは(着慣れても??)これが少々やっかいなので、注意点をいくつか解説しておこう。

袖口、袖の付け根、袂

着物の袖のウィークポイント?は「袖口」「袖の付け根」「袂」の3箇所。このうち袖の付け根に関しては男物の長着(着モノの正式名称)か襦袢にしかなく、男物の羽織あるいは女物の着物類にはない。

なんで袖がこんな形状になっているのかはオレも知らん(おい)。男物に関してのみ言えば、袖口から物を入れるポケット代わりだったのかなと思うけど、ホントのところはどうだかわからない。

洋服での動きに慣れてしまっているし、現代の生活様式が洋服を基本として成立しているので、注意しておかないと袖が悲惨な状況になることがある。でも男物の着物の袖がこういう形状である以上、これの扱い?に慣れていくしかないわな。

袖口:ドアノブに注意

袖口は、言うなればポケット口が横向きに口を開けているようなものなので、特に水平方向に突き出ている物体などが引っかかることがとにかく多い。

それがかなりの高確率というか着物を着る人は100%経験する頻度で起きるのは、意外や意外、ドアの開け閉めに使ういわゆるドアノブ。特にL字型のドアノブはかなり危険。

どうなるかというと、ドアノブが不思議とうまい具合に袖口に入ってきて、ドアノブから手を離して動こうとすると袖口の下の縫い目がビリビリ〜と裂けるわけ。

ドアの開け閉めをするときには落ち着いて、ドアノブが袖口に入ってないのを確認してから移動するようにしよう。これ、慣れた今でもたまに引っかけるんだけど、袂が一瞬後ろに引っ張られると立ち止まるクセはついた。

昔ながらの日本家屋?は、家の入り口や襖や障子などドアノブがない「引き戸」が多いので、袖口が避ける頻度は格段に低くなっている。着物に合わせた作りなのか、着物が作りに合わせたのかはわからんけど。

あとおまけで、袖口だけではなく羽織の裾や袴の横にある隙間も注意しておいたほうがいい。こう言っちゃなんだけど、失敗して覚える感じです、はい。

袖の付け根:脇がほつれる。

次に注意してほしいのが袖の付け根というか脇の部分。正確にはこの部分に注意するのではなく、所作に注意しないとここに力がかかってほつれたり破けたりする。

例えば横になってテレビを見るようなとき。かなりの人がするであろう「ヒジをついて頭を支える行為」を洋服と同じ感覚ですると、かなりの確率で脇の縫い目が裂ける。

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対策としては、ヒジをつく時に必ず袖をヒジ上までたぐり上げること、これだけでかなり防ぐことができる。古着の中には、脇の部分を小さなあて布?で補強してあるものもある。昔の人も構造的に弱いのを知っていたけどどうしようもなかったのだろう。

袂:テーブルの物体に当たる。

参考画像では先っちょだけにしているけど袂全体と考えてもらえばいい、とにかく袂がモノに当たる。この部分こそ洋服にはまず存在しない部位だから。特に飲み屋やメシ屋などで、手を伸ばしてなにかをしようとするときに起こりやすい。

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ビール瓶を取ろうとしてコップがひっくり返る、コショウを取ろうとしてラーメンドンブリにドボン、などなど。トンコツ風味やポン酢風味の袂など、最初の頃はしょっちゅうだから気にするな(笑)

対策としては、伸ばす側の手とは反対側の手で、袂を手前(自分側)に引っ張ってやればいい。

他には、腕を伸ばす時には袂をテーブルの端に引っ掛けるようにするとか、腕を伸ばす時だけでなく常時袖を手前に引き気味にしておくとか。最 初は慣れないけど、着物を着てそういう状況に遭遇する回数が増えれば、体が憶えて自然とできるようになるはず。

特にアルコールが入ってくると、身振 り手振りが知らず知らずオーバーになりがちなので用心するように……といっても、酔っぱらいにはムリくさいけどがんばれ。

とにかく「慣れる」しかない。

今まで「袂のある和服」を着たことがなかった人だと、これらのことを失敗せずにすべて回避するのは絶対に無理。 特に洋服と着物の「力のかかり具合の違い」は、失敗して初めて実感できるはず。

裏 を返せば着物を着る人全員が、程度の違いはあれど必ず1回は経験することなので、失敗するのが当たり前とも言える。いいよう に考えて、着始めたうちに何度も経験しておいたほうが「対策」が身につきやすいかと。

これはホント「慣れる」しかないけど、それでもたまに「やらかしてしまう」ぐらいだから、完璧に回避できないと恥ずかしいってわけでもないのでご心配なく。

じゃあもし失敗したらどうすればいいか?適当に処理すればいいんじゃない?(笑)

オレは日常的に着てるやつなら、汚れたらさっさと洗濯するし、縫い糸が切れたりほつれたりしたら適当に縫ってる(もちろん和裁ではない)だけ。修繕跡なんてよくよく見なきゃわからないし、普段着日常着ならそれで充分かと。

もちろん、どうしても気になる人は仕立て屋など専門店に相談どうぞ。

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