和服の「TPO」も人それぞれ
和服に限らず洋服でも言われるこの「TPO」とは、Time(時間)、Place(場所)、Occasion(場合)の頭文字を取ったもので「時、場所、場合にあった(服装の)選択や方法」という意味。
一見難しそうだけど、結婚式には結婚式用の服装、仕事には仕事用の服装など、ざっくりとしたTPOは実はたいていの人はしぜんとやっている。その延長というか細かな部分をどう考えればいいか、オレなりの考え方を解説しておこう。
早い話が状況分析
なにか難しいことをするというわけではなく、要は和服を着る状況を細かく分析してみようって話。
例題「7月20日(仮に土曜日)午後3時、東京都中央区銀座で行われる、和服で散策からの飲み会に参加する」悪意はないですよホント。
Time(時間や季節)
例題からだと「7月20日(仮に土曜日)午後3時」
7月後半といえばもう夏真っ盛り、おまけに午後3時なのでけっこう蒸し暑いはず。冬服は当然ながら無理なので、例えば綿(木綿)や麻など薄手の単衣長着の着流しとか。汗もかくだろうから手ぬぐいやタオルも忘れずに。
やや「P」とも被るけど、もし北海道や沖縄からくる人なら、夏といっても地域による気温差や体感温度の違いもあるだろう。
Place(場所や位置)
例題からだと「東京都中央区銀座で行われる」
ここは人によって少し考え方が分かれるところで、例えば、
>Aさんは四国から数年ぶりに上京した。銀座へ行くのは初めて。
>Bさんは銀座のはずれに住んでいて、よく街中(銀座)へ行く。
Aさんにとって東京は数年ぶり、オマケに銀座は初めて。地元の繁華街とはちょっと様子が違うからと一張羅を着ていくかもしれない。いっぽう Bさんにとって銀座は慣れ親しんだある意味地元、少し洒落た恰好はするけれど一張羅まではいならないと判断するかもしれない。
Occasion(場や状況)
例題からだと「和服で散策からの飲み会」
実はこれが一番難しい。人によって捉え方というか選択する幅が広いから。例題は集まれ系の和服イベントのようだけど、
>Cさんは初めて参加するので知らない人ばかり、散策ルートや勝手もわからない。
>Dさんは二度目なので見知った顔もいるし、散策や飲み会の様子もある程度わかる。
>Eさんは主催側の人なので、第一回目からのイベントの流れや様子を知っている。
Cさんはとりあえず当たり障りのない定番の着方、Dさんは前回知り合った人らと連絡取り合ってちょっとお洒落な着方とか。さらにはEさんは運営側、参加者らよりは目立ちすぎないように且つ一目で運営の人(ら)とわかるように目印となる品を身につけてるとか。
適当にざっくり解説すればこんな感じかな。
服装の絞り込み検索のようなもの
ネットでなにかを検索するとき、例えば「和服」だけだとあまりにも検索結果が多すぎるので「和服、男物、木綿」とか「和服、古着、夏物、白」とか、条件や キーワードで絞り込み検索するでしょ。これを実際の服装で「時間、場所、状況」を基準に絞り込んでみようってのがTPOなわけ。
よく耳にするTPOは一般常識、決まり事と同じような意味で用いられているようだけど実際はその逆で、いつでも誰でもどこでも同じ恰好をするのではなく、いろいろな条件によって着るモノを調整してみませんか?という考えなんだよ。
もうわかったと思うけど、洋服では誰でもある程度はごく普通にやってること。
家の中では家の中用の、仕事には仕事用の、お出かけにはお出かけ用の、冠婚葬祭にはそれ用の、さらには状況や内容によって微妙に服装を変えてる(もちろん細分化の仕方も人それぞれ)でしょ、これがそのまんまTPOってやつなわけ。
そう考えると難しいどころか、服装を決める基準や目安ができるから選びやすくなるでしょ。和服が衣服であるのと同じように、TPOも和服に限らず服を着る人なら誰でも考えるごく当たり前のことなんだよ。
ちなみにTPOという言葉、ウィキペディアによると1960〜1970年ごろにできた和製英語で、とある洋服ブランドの創始者である日本人が発案者らしいよ。
「ドレスコード」には注意
TPOとよく似た言葉に「ドレスコード」があるけど、これはTPOとは別物なので注意。先ほどのネット検索の話で例えるなら、TPOはキーワードは人それぞれバラつきがあるけど、ドレスコードはキーワードを(いくつか)指定するようなもの。
実際には、例えばちょっとお高いホテルなどで「サンダルや下駄履きはお断り」とか、ちょっとしたパーティーなら「フォーマル用の服装でご参加ください」とか、言ってみれば「場の服装のルール」が明確に指定されているわけ。
その場に行くのであれば、泣こうが喚こうがこれには従わなきゃいけない。自分の服装が不安なら問い合わせをするように。
(C) 2007,2019 バカガエル.