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着物を自宅で洗濯してみよう。

日常生活の中で和服を着るのであれば、「洗濯」は絶対に避けては通れない。しかし、作務衣や甚平はどうにかなるけど、着物は洗濯できないんじゃないの?と思っている人もいるだろう。というわけで、オレがやっている手洗いによる洗濯方法を解説しておこう。

ちなみに、洗濯機でブンブン回す方法が、「あめんぼう」という着物屋さんのサイトに詳しく掲載されているようなので、そちらも参考にしてほしい。

洗濯の注意点

一番重要なことなんだけど、実際に洗濯して着物がどうなろうともオレは責任を持たないので、あくまで「自己責任において」やってほしい。ただし矛盾するようだけど、適当な古着でいいので、一度実験的に洗濯してみることをおすすめ。

日常着の着物限定

今回のネタは、あくまで日常着としての着物が対象。スーツや礼服、一張羅などをクリーニング屋さんに持って行くように、着物も、一張羅や大切に扱いたいものは、やはり専門のプロにまかせたほうが間違いない。

また、一度洗っても落ちない汚れやシミなども、ムリせず染み抜き屋さんに相談してみてほしい。

同時洗濯は2つまで

準備する洗濯おけの容量にもよるけど、同時に洗濯するのは2つ(長着&襦袢とか)までがいい。

もちろん3つ以上でも洗濯自体はできるんだけど、長着(着モノの正式名称)や長襦袢は、洋服で言えばシャツ&ズボンなので、多すぎると手間がかかってめんどくさいと思う。日をずらすなど、分散して少しずつ洗ってやったほうがいいだろう。

洗濯する時期の目安

古着は買ったら即洗濯だろうけど、それ以外でも初回以降は、洋服と同じようなタイミングで洗濯してやればいい。

部屋着は部屋着なりに、外出着は着用頻度(着用時間)も考慮して、例えばスーツや学生服の上下と同じような感じでいいだろう。襦袢は襟まわりが汚れやすいし肌に接する部分が多いので、シャツ感覚がいいかも。ただし上にも書いてあるように、洋服で言えばシャツ&ズボンであることを忘れないように。

オレ個人としては、我慢して我慢してがっつり洗濯するより、さっとでもいいからある程度こまめに洗濯してやったほうが、汚れも落ちやすいし着心地も良いかなと思う。もちろん夏場は汗をかきやすいので、長着でも襦袢でも着るたびに洗濯してOK。

生地の収縮に注意

正絹やウール、綿、麻などの天然素材から作られた生地は、洗濯するとほぼ間違いなく縮む。特に縦方向がひどく、横にはあまり縮まない。

柔軟剤の使用、洗濯後のシワ伸ばしなどをしても、着丈に関しては3%前後(着丈が150センチだと5センチ前後)は縮んでしまう。生地によって収縮率も微妙に変わって、麻はもう少し縮むかな。特に着丈は、もともと目立つポイントであり、少し短めの着丈だと頭痛がしてくるかもしれないので、その点注意してほしい。

逆に、一度縮んでしまうと、その後はほとんど縮まなくなる。作る段階で「水通し(生地をわざと水に浸しておく)」という行程を踏まえたものは、すでにこの状態になっているし、そうでないものでも、2、3度洗濯すればほぼ同じ状態になるだろう。ちなみに、最近見かけるポリエステル(化繊)のものだと、まず収縮することはない。

その他

袷仕立てや羽織など、表裏別々の生地が使われてるものは、生地による収縮率の違いで、縫い目が引きつったような状態になる可能性がある。きれいな額裏の入った羽織などは、やめておいたほうが無難かもしれない。

また、正絹、あるいは袷の着物などは、洗濯すると汚れとは別に、糸を染めた染料?が溶け出すことがある。見分け方は、汚れの場合は黒っぽい、あるいは黄色っぽい(ニコチン?)水になる。水の色が別の色になったからといって、生地が傷んだり色落ちするようなことはないので、すすぎを念入りにしないように。

用意するもの&下準備

長々と注意事項を書いたけど、まあとりあえずやってみよう。まずは下準備。

[1-1]洗濯に必要なものは、中性洗剤、柔軟剤、洗濯おけ、古歯ブラシ、といったところ。

洗濯おけ(たらい)は、ホームセンターにでもいけば売っているだろう。容積が24リットルぐらいは必要(参考画像は24L)で、それ以上の容量あるのはいいけど、逆に小さいとうまく洗えないと思う。

洗剤は中性洗剤が必須。大切な衣類のお洗濯に、などと謳っている液体洗剤がそれで、詳しくは購入先やメーカーに聞いてほしい。ちなみに、生地の素材が化繊や綿(木綿)の場合、オレ個人は普通の洗剤を使っていて、おまけに化繊と一部の綿(浴衣や部屋着など)のやつは、ハナから洗濯機へドボンだ。

[1-2]汚れやシミの部分を水で濡らして、歯ブラシに洗剤の原液をつけて軽くこすってやる。表面の簡単な掃除と洗剤を染みこませるのが目的なので、念入りにする必要はない。無理に歯ブラシを使わなくても、洋服でやるように汚れ箇所に直接洗剤をかけて少し放置、あるいは手で軽くゴシゴシしてもいいだろう。

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[1-3]桶にぬるま湯(約30度)をためて、[1-4]洗剤を計って混ぜて、洗剤を溶かしたぬるま湯=洗濯液を作る。

30度というのは目安。ぬるま湯のほうが汚れが落ちやすいだろうとオレが勝手に思うだけなので、几帳面に測る必要はない。実際、普通の水でもオレは洗うしね。

洗剤の量は少し多めよりはやや少なめにして、入れすぎた場合は湯(水)を足してやる。襟に洗剤を塗っている場合は、その分を若干差し引いてもいい。それこそ、洗剤を足す必要はないかも。とんでもなく汚れている古着や、田植え作業の時に着たものでもないかぎり、そんなに汚れているわけでもないし、すすぎをする手間が短くてすむからな。

手洗い〜脱水

ゴシゴシ念入りに洗うのではなく、軽くさっと洗うような感じ。基本的には普通の手洗いと同じだ。

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[1-5]洗濯物を桶に入れて、2〜3分ほど洗濯液の中でゆっくり動かして、全体になじませるような感じで軽く押し洗い。[1-6]各洗剤を参照の上、浸け込み洗いでもOK。

洗う時間は、水の汚れ具合を見て臨機応変にしていい。よほど汚れてないかぎり、これだけで充分きれいになるんだけど、古着など、長年放置プレイだった着物だと「おいおいマジかよ!」というぐらい洗濯液が真っ黒になることもあるので、そんなときはもう1回洗い直そう。

[1-7]洗い終わったら洗濯液を捨てて、新しくぬるま湯(水)を注いですすぎをする。洗濯物は軽めに押すなりして、水分をなるべく切ってからのほうがいいだろう。

着物に限らず衣類の洗濯全般そうだけど、洗い終わった後の衣類には洗濯液がたっぷり染み込んでいる。最初にそれをなるべく除去=水切りしておかないと、余分な洗濯液まですすぎの水の中に入れてしまうから、いつまでたっても泡が消えなくなる。すすぎも、1回ごとに水切りをしてやるようにすれば、回数が少なくて済む。

あと、桶から水分を含んだ着物を持ち上げるとき、洋服のようにどこか1カ所を持ってザバーッと持ち上げないように。

何度も言うけど、着物は洋服で言えば上下一体なので、単純に倍の水分を含んでいる=かなり重くなっている。特に袷仕立てのものは、表生地と裏生地の間にかなり水分をためこむからか、そうとう重くなるんだよ。おまけに手縫いの箇所がいくつもあるので、洋服のように扱うと、縫い目(縫い糸)にかなり負荷がかかるため、最悪、縫い糸が切れてしまう可能性がある(かもしれない)。

そうならないように、水分を含んだ着物を水から持ち上げるときは、ダンゴ状態でもいいので、まとめてごっそり持ち上げるようにしたほうがいいだろう。

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[1-8]すすぎが終わったら新しいぬるま湯(水)をはって、これも少なめに柔軟剤を投入、[1-9]完全に浸してやる。

浸しておく時間などは、各柔軟剤の裏面に書いてある使用法を参考にしてほしい。めんどくさいなら使わなくてもOK、そこは各自の判断にまかせる。

[1-10]そのまま干すとなるとかなり重いので、軽く水分を切るために脱水。こればかりは洗濯機のほうが便利だろう。洗濯ネットに入れたい人は入れればいい。

高速回転になってから約30秒〜1分ぐらいでストップ。手で絞る代わり程度の、少し水分が残っているぐらいでいい。どうしても洗濯機を使いたくない人は、バスタオルで挟み込んで水分を取る方法とかもあるけど、個人的には手間も時間もかかるわりに、あまり効率的ではないと思う。

陰干しする。

あとは干すだけなんだけど、乾くのを待つのがめんどくさいからと乾燥機を使うのは、生地を問わず絶対にやめたほうがいい。熱で水分を飛ばすからか、予想以上に生地の収縮が激しいんだよ(経験済み)。着丈や袖丈がごっそり縮んでもいいならともかく、面倒でも普通に干すようにしてほしい。

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[1-11][1-12]洋服を干す要領で、パンパンと叩いたり、袖や身頃を適度に縦横へ引っ張ってやるなど、簡単に生地のシワをのばしてやる。あまり力を入れて引っ張りすぎると、縫い目付近が痛む可能性あるので注意。

干すときには、普通の洋服用ハンガーだと、乾燥後に肩から袖にかけて形がおかしくなってしまうことがあるので、なるべく参考画像でも使っている「着物用ハンガー」を使ったほうがいい。ちなみに、まったく脱水せずに干してもかまわない(実験済み)けど、裾が地面につかないだけの高さのある物干し台に、物干し竿を袖から袖へ通して、Tの字のような形で干してほしい。

干す場所は、理想は風通しの良い日陰なんだけど、風通しはおいといても、部屋の中などなるべく日陰がいいだろう。乾燥機を使わないように、急激な水分蒸発は控えたいからな。

[1-13]以上で一連の工程は完了、ハイ、かんせー。丸1日干しておけば乾くでしょ。

最初の注意書きで書いたように、初めて洗濯した場合は、着丈や裄が縮む可能性があるので、そこは覚悟しておいてほしい。余裕がある人は、洗濯前に各寸法を採寸しておいて、乾燥後にもう一度採寸して両者を比較すれば、今後の購入に役立つかもしれない。

あとはお好みでアイロンでも寝押しでもご自由に。アイロンがけをするときは、直接あてると生地がテカテカになる可能性があるので、手ぬぐいなど薄手の生地を上にかぶせて、その上からかけたほうがいいだろう。それと、アイロンの先で縫い目をえぐらないようにな。

基本的に着物はなんでも洗える。

解説画像をよく見ればわかると思うけど、今回撮影用に洗濯しているのは、洗うのがめんどくさいであろう袷の羽織でやっている。長着や襦袢も、これと同じようにしてやれば大丈夫、とにかくなんでも洗える。

帯や羽織紐も洗ってOK

角帯に兵児帯、羽織紐も、浸け置き洗いでいいのでたまには洗濯してやってほしい。特に夏場に使った帯は、意外と汗を吸っていたりするからな。正絹の帯や羽織紐は、使う→手入れ、を繰り返してやれば、すごく柔らかくなって締め心地もバッチリになる。

袴は素直に業者さんへ

袴の構造にもよるけど、腰板のついているごく一般的な袴は、残念ながら洗濯することができない。

[1-14]というのも、腰板部分の中身は厚紙(プラスチック製もあるらしい)が入っており、おまけにその部分は縫っているのではなく「のりで貼り付けてある」ことが多いからだ。

洗濯してしまうと、中身の厚紙はフニャフニャ、のりが水に溶けて生地も剥離してしまうんだよ。昔、そうとは知らずに洗濯して、袴を捨てた経験があるからな。厚紙を交換して、裁縫用ののりで貼り付けてやればどうにかなるのかもしれないけど、こればかりはオレも試したことがないし、試す勇気もない。

よって、購入する場合は、洗濯が可能かどうか聞いておくのもいいし、腰板のある袴を洗濯したいのであれば、ちゃんと専門の業者さんへ持っていくほうがいいだろう。

[1-15]ただし、まったく洗濯できないわけでもなく、腰板部分を水に浸けないようにすれば、なんとか洗濯することは可能だけど……ホントどうなっても知らないので、自己責任でよろしく。

衣服は汚れるもの、汚れたら洗濯する、これ当たり前。

実験と実益を兼ねて、オレもウール、綿(木綿)、正絹、と、いろいろな生地を洗濯してみたけど、洗ったあとはすごく軽く感じられたし、正絹のものは絹の光沢が戻った気もする。特に古着は、一度洗濯してやるとすごくキレイになった気がする……いや、なる、だな。

考えてみれば、昔の人は着物が生活の衣服なわけで、金持ちは知らないけど、一般人はたいてい自分で洗濯をしていたはず。かまどの炭を洗剤代わりにして、ゴシゴシ手作業……時代劇で、長屋のオバチャン連中が井戸端会議をしながらな洗濯しているシーンを見たことあるだろう。

それに比べれば、現代は洗剤もすごく進歩しているし、脱水機など便利なものもあるのだから、より簡単にできるはずなんだよ。ただ、昔の人は和裁ができる人が多かったので、洗濯して少々着丈が縮んでも簡単に寸法直しや繕いが可能だったから、余計に洗濯しやすかったのかもしれないな。

Last 2012/02/23. Copyright (C) since 2007 バカガエル.