袴紐の結び方
袴装着の最終段階、前にもってきた後ろの袴紐の結び方で一般的なのを2通り解説しておこう。この二つを覚えておけばとりあえず問題ないかと。
もちろん他の結び方 やオリジナルの結び方でもいい。その例として最後にもうひとつ結び方を追加しました。
結び方その1:結び切り
結び切りは、すごーく簡単に言えば適当に結んでいるだけ(後述)。
前紐の上で後ろ紐(腰板からの紐)を交差させる。
和服の着方と同じで右前=左手側の紐を上に交差させるのが基本らしいけど、結んでしまえばそんなもんわからないのでどちらでもどうぞ。
上側の紐で、下側の紐と前紐をまとめて前紐の後ろ(裏側)に通して上へ抜く。
下側の紐を反対側に折り返す。
上側の紐を下げて、折り返した下側の紐の後ろ(裏側)を通す。
両方へぎゅっと引っ張ればかんせー。
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イラストでは結び目がゴテゴテしているけど、実際の紐ではこんな小さな結び目になる。
なお、余った紐は横に回して始末する。
側面にある前紐(3周目)に下から上へ適当に巻きつけて、それでも余るようであれば帯の中にでもねじ込んでやる。けっこう余るようならハサミで切っ て短くするのも手ではあるけど……その前に「結び方その3」を試してみておくれ。
イラストの解説を見て気づいたかもしれないけど、前紐と一緒に結んでしまうものの、実は結び切りって角帯の貝の口結びと同じ=横結びをしているだ け。結び切りという名称も(適当に)結んでハイおしまい、という意味なのかもしれない。
聞いた話によると、弓道の袴は基本的に結び切りをするらしい。結び目や余った紐が、矢を射る動作で弓に張ってある弦に巻き込まれないようにするため とか。
結び方その2:一文字結び
名前の通り、結び目に「一文字」を作る結び方。に「結び切り」と同じく交差させるんだけど、この結び方の場合は前紐の下(裏)で交差させる。紐を交 差させる順番は結び切り同様、右前がいいと言われているもののどちらでもいい。
後ろ紐を前紐の後ろ(裏側)に通して交差させる。
結び切りと違って、一文字結びは前紐の後ろ(裏側)に通してから結び始める。どちらの紐を上にするかは、結んでしまえばそんなもんわからないのでど ちらでもどうぞ。
下側の紐を上に上げて前紐と上側の紐を一緒にくくる。
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上側の紐を反対に折り返す。角帯の一文字結びの別手順はここから。
下側の紐を上に上げてまたまたくくる。
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袴下の一文字結びの「垂れ」のように横向きの紐を何度か折り返して「一文字」を作る。
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下側の紐を上げて、結び目に重ねた「一文字」を前紐ごとくくる。
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紐がまだ余っているようならさらにくくってもOK。とはいえやりすぎると見映えが悪 いので2〜3回までかなと。
ハイ、かんせー。実際はこんな感じ。
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まだ紐が余っている(普通は余る)場合は、前紐の下あたりに適当にねじこんでやればい い。
「十文字結び」について
袴紐の結び方としては、もうひとつ「十文字結び」というのがある。結び方そのものは一文字結びとだいたい同じで、最後の余った紐の処理の仕方が 違うだけ。だから解説しなかった……というわけではない。
十文字結びは主に礼服の袴のときにする結び方というか、一文字結びのワンランク上の結び方として扱わることがあるのと、礼服のときも主賓クラスじゃなければ一文字結びで問題はないので、あえて解説するのはやめた。
オレも方法は知ってるし試しにやったことはあるけど「実戦投入」は一度もしたことがないし。もちろん十文字結びをするしないはその人の判断に任せるので、どうしてもやりたい人はネットで検索しておくれ。
結び方その3:チョウチョ結び「改」
チョウチョ結びをしてその「羽」を前紐に下からねじ込んでやるだけ。なんとなく思いついてやってみたら具合がいいの で、オリジナル?結びの参考例ということで。サナギ結びでもなんでも呼び名は勝手にどうぞ。
チョウチョ結び改は「結び切り」からの派生になる。
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ここまでは結び切りと一緒。そして、折り返した下側の紐を輪っかにしてチョウチョ結びをする。
チョウチョなので「羽」ができるわけだけど、これらをまとめて前紐の下に適当にねじ込んだら、はい、かんせー。
解くときは羽を引っ張り出してチョウチョ結びを解けばいいので簡単。
結び切りは、余った袴紐を側面に巻きつけていくんだけど、余りが長いとけっこうぐるぐる巻きつけなきゃいけなくなる。チョウチョ結び改だと、羽がで きる関係で余りの長さが擬似的に約3分の1になるので、余りの処理が簡単に手早くできるかなと。
ちなみに、羽を収納せずチョウチョ結びのままでも別に構わない。神主さんとか神社関係の人はチョウチョ結びのままの人もいる。
余談だけど、もともとオレは結び切りで結んでたんだけど、ふと閃いてこのチョウチョ結び改をするようになった。それでこの結び方を「寝言戯言」に試験運用?として載せていたところ、神社関係の本職の方から「この結び方は私を含め一部の人はやっていますよ」 とメールで情報をいただいたので掲載することにした。ありがとうございましたmm
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