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身幅が大きい着物の着方

着物、特に長着(着モノの正式名称)で、身幅が自分のサイズより大きい場合の着方を解説しておこう。ただし、間に合わせというか微調整用の方法であり、この着方ありきで身幅を無視するのではな く、なるべく自分サイズに近いものを買う&着るようにしてほしい。

オレも以前はこの方法で着てた身幅の少し大きい長着(古着、既製品)があったんだけど、現在は仕立て直しに出して身幅の寸法調整もしてもらっているので、この着方は使っていません。

この着方の注意点

長着を着ると帯から下がスカートのようになってしまう人や、細身で前身頃がお尻のほうまで回ってしまう人には有効だけど、この着方にはひとつだけ注 意点がある。

長着を着るとき、背中の中心(背骨の位置)と長着の中心(背縫いの位置)をだいたい合わせて着るんだけど、この着方は背縫いの位置が右側に少々ズレ てしまう。

よって、中心線のズレが気になる人はこの方法は不向き。ただ、右と左の色柄が違うような長着ではないかぎり、人から見てそんなに中心線のズレは気に ならないとも思う。

それと、悪く言えば少々強引に着る着方なので、帯の下に伊達帯や腰紐を使ったほうがやりやすいかと。

身幅の大きさ(誤差)の確認

まず最初に、長着の身幅がどれぐらい大きいか=寸法誤差を確認する。ひとまず普段通りに長着と体の中心を合わせる。

右手側身頃(下になるほう)の縁線を、体〜足のラインにあわせるというか沿わせる。

身幅が大きいなら右手側身頃がダブついているはずなので、右手は画像の位置を押さえたまま、左手側身頃(上になるほう)を軽く斜め上に引っ張ってや る。

全体を左へスライドさせるのではなく首から下を斜め上にずらす感じ。これでダブついた身頃が左手側へ寄ってくる。

あとはそのまま左手側身頃を普通に重ねると、余分な前身幅=寸法誤差が右手側にはみだすはず。

体の横幅のラインを基準にして寸法誤差がだいたいどれぐらいあるかを確認。何センチなどと几帳面に測らなくていい、中指の長さとかおくみ幅ぐらいと かでOK。

ちなみに、画像は左前(死装束の着方)にならないように普通の着方(右前)でやってるけど、実際に着るんじゃなし気にしないって人は、左前=左右逆 でやったほうが寸法誤差が確認しやすいと思う。

余分な前身幅を折り返して着る。

それでは着てみよう。先ほど確認した寸法誤差分、右手側身頃を外に向けて折り返してやる。

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きっちり折り返さなくても、帯の下になる襟の先っちょ(ちょこっと飛び出してるところ)あたりをしっかり折り返せていれば、その上下は少々適当でも かまわない。

折り返した部分を持ち、長着と体の中心線をあわせる。折り返した分だけ左右身幅が違うので右手と左手の距離感も違うはず。

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で、寸法誤差を確認するときにやったように、首から下の部分を今度は右手側に寄せて両手の位置関係を同じにしてやる。このとき、長着と体の中心がズ レて右手側に寄るわけ。

あとはそのまま普通に着る。折り返した部分が元に戻らないように注意。

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確認した寸法誤差どおりに折り返せていれば、おおむね体幅のラインと長着のラインが重なり、後ろへ巻き込む部分はほとんどなくなっているはず。

伊達帯(腰紐)を締めたらひと段落。左手を袖口から引っ込めて中に入れ、左手で中から襟を引っ張って形を整える。

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襟を引っ張る方向は垂直に近い斜め方向かな。あと、左脇腹あたりのシワを軽く引っ張っての ばし、ダブついてる部分は帯で隠れる下のほうあたりに適当に集める。

ハイ、かんせー。ぱっと見にはどこがどう違ってるかわからないだろうから以下解説。

普通に着た場合との比較

解説に使った長着は実際に身幅が少し大きいやつなので、普通に着た場合との比較してみよう。まずは胸元、左側が普通の着方、右側が解説した着方。

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胸元の完成形と襟の角度が違うので、見映えもかなり 変わっているのがわかるかな。身幅が大きいのをそのまま着ると、襟で首を絞めるというか胸元(首のあたり)が窮屈になるけど、この着方だと胸元が開いてゆったりする。

身頃がどれぐらい回り込んでいるかを横から見た様子。左側が普通の着方、右側が解説した着方。

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身幅が大きいのをそのまま着ると、身頃が横に回り込んで(内側も同じように回り込んでるのも忘れずに)生地同士が重なる面積が大きくなり、裾さばきがうまくできずにすごく歩きにくいけど、この着方だとそれも解消されるはずだ。

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