衿(襟)留めピンの使い方
長着(着モノの正式名称)や襦袢の胸元が開くのを防ぐ「衿(襟)留めピン(以下、ピンと表記)」なる小物がある。買ったはいいものの使い方がわから ない(説明書が入ってない)ことがあるらしいので解説しておこう。
ただし、モノによってはピンが使えない着物もあるのでそこは注意(後述)。
ピンの使い方(取扱説明書)
ピンはこんな形状をしている。これを長着や襦袢の襟の縫い目に差し込んで胸元を固定するわけ。
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ざっくり図解するとこんな感じ。長着や襦袢の襟は、身頃の生地をサンドイッチするように縫いつけられており、胸元の合わせ目ではそれらが重なった状 態になっている。
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そこにピン(ピンクの線)を、右手側の襟(下になるほう)の表側縫い目と、左手側の襟(上になるほう)の裏側縫い目にそれぞれ差し込んでやればOK……ってわかりにくいと思うので、以下実際にやってみよう。
ピンの使い方(実際にやってみる)
ピンを差し込むのは着物を着てから。ピンを差し込んでから着るわけではないので注意。
まずはピンを右手側襟の表側縫い目に差し込む。どの辺りに差し込むかは胸元の合わせ具合=着る人の好み。
もう片一方の先を左手側襟の裏側縫い目に差し込んでやる。
右手側の襟を内側へ巻き込むようにしてやればやりやすい。
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ハイ、かんせー。ピンは襟の裏側にあるので胸元から見えることはない。
長着は襟の縫い目に差し込むことになるけど、襦袢の場合は半衿の縫い目に差し込んでもいい。特に自分で半衿を縫い付けてるなら縫い目も雑(おい)だしやりやすいかと。
使用上の注意点など
これだけは絶対に注意してほしいこと。理由はわかると思うけど、着物を脱ぐ時にピンをしているのを忘れないように。ガバッと勢いよく胸元を開けると大変なことになるよ?
ピンを使う一応の条件として、いくら胸元を固定できるとはいえ、身幅が狭すぎるものやキツめに着ているとピンで縫い糸が切られることがあるので、ある程度は自分 の体型に合った襦袢や長着を着ておくれ。その上で胸元の崩れを抑えるために使うように。
無理やりその位置で固定するというより、ある一定以上は胸元が開かないようにする使い方がいいかなと。
あと、縫い目の隙間が小さいものはピンが入らないことがある。化繊など既製品のものに多いミシン縫いや、手縫いでも細かく縫ってあるものは隙間が小さい可能性があり、無理に差し込もうとすると縫い糸が切れたり、最悪生地を破いてしまうこともある。
ピンが差し込める隙間があるやつは、縫い糸に当たらないかぎりどこでもスッと抵抗なく差し込めるので、何度か位置をずらしてやってみても差し込めない場合は諦めてほしい。
それと、ピンは全部で一つしか使ってはいけない、なんてことはないので、胸元の具合が気になる人は襦袢と長着それぞれに同時にピンを使ってもOK。
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