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和服(着物)の区別に関すること

和服(着物)に関するなんとなく他人に聞きにくい疑問質問のうち、男物と女物など区別や違いについてまとめてみた。

着物の「男物」「女物」

構造的な違いはいくつかあるけど、一番わかりやすいのは袖と胴体の連結部分。右側の女物の画像は加工画像。

男物は袖と胴体が結構長く縫い付けられているけど、女物は腕の直径?ぐらいしか縫われてなくて、おまけに袋状に閉じていないのでパクパク開いている。これは長着(着モノの正式名称)だけでなく、羽織も長襦袢もすべてこういう作りになっている。

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なぜこういう作りになっているかと、女性は乳房があるので胸の部分を立体構造にする関係でこうなったと勝手に解釈してるんだけど、本当の理由は知ら ん。

なお「派手な柄物は女物、地味っぽいのは男物」というのは、男物(女物)に地味(派手)な生地の着物が多いというだけで、生地の段階では男物女物は決まっていない。生地を問わず仕立て上がった「形状」によって男物女物の別ができる。

たまーに「これは女物の生地で作った男物で……」といった話があるけど、そんな着物は事実上存在しない。あるとすれば「女物を仕立て直した男物」だ。

「一般的な浴衣」「温泉浴衣」「寝巻き」

一般的に市販されている浴衣と似たようなもので「温泉浴衣」「寝巻き」というものがある。温泉浴衣は温泉地の旅館によくあるやつで、オレが勝手にそう呼んでるだけ。旅館浴衣、業務用浴衣ともいうらしい。

一般的な浴衣と温泉浴衣&寝巻きの、ひと目で分かる違いは袖の構造。一般的な浴衣は「脇が開いている(人形部分がある)、袖に袂(たもと)がある」温泉浴衣&寝巻きは「脇が閉じている(人形部分がない)、袖が袂のない筒袖」となっている。

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片っ端から探せば「筒袖の一般的な浴衣」や「袂のある温泉浴衣」もあると思うので、100%区別できるわけではないだろうけど、他の違いも加えればほぼ区別できるかと。

他の違いとしては、温泉浴衣は縫い目が表に出ていることが多い(長着は縫い目が表に出ないように縫う)、襟の幅が長着より少し狭く厚みが薄っぺらい、ものによっては旅館名が生地に書いてある、など。

寝巻きは、腰のあたりに作務衣のような紐がついているし、よほどじゃないかぎり寝巻きは「寝巻き」と堂々と名乗ってる(笑)

ちなみに、一般的な浴衣を寝巻き代わりに使ってもいいけど、温泉浴衣や寝巻きで出歩くのは、ある意味パジャマで出歩くようなものなので、温泉地や近所のコンビニ以外はやめておいたほうが無難かと。

左前(ひだりまえ)と右前(みぎまえ)

洋服では、男女でボタンのついてる位置などシャツの合わせ方が違うけど、和服では男女共通で洋服でいえば男物の着方をする「右前」。それに対して洋服でいえば女物の着方をするのを「左前」という。

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参考画像は通常の着方(右前)を左右反転させて左前を作ってある。早い話、鏡に映った自分を自撮りすれば左前になるわけ。

なぜ和服は男女とも右前で着る=左前で着ないのかというと、左前の着方は仏教で亡くなった人を弔うときにする死に装束の着せ方だから、と言われている。

ただ、死に装束云々は俗説で、大昔に中国大陸から渡ってきた人が右前だったからとか、昔は左前も右前もあったとか諸説あるらしい(詳しくは知ら ん)。しかし現在は男女とも右前が一般的な着方として定着しているし、死に装束云々も微妙に説得力あるので、無用の混乱を避けるためにも「右前で着る」が いいとオレは思う。

ただし、オレがする(着る)わけじゃないので、理由はどうあれ承知の上で自己責任で左前で着るのであればそれを止める気はない。個人的には利き腕や作業の勝手などで「右前左前どっちもアリ説」が一番実用的な気がするんだけどね……。

「手前」の解釈

右前左前の「前(手前)」の解釈は「和服を見ている人間に近いほうが前(手前)」とすればわかりやすい。

>相手から見れば「右側に見える身頃」が自分に近い=手前だから右前。

>着ている人間から見れば「右手側の身頃」が肌に近い=手前だから右前。

といった具合だ。なおウチのサイトでは身頃と手前の混同を避けるため、着ている人間を基準にあえて「左手(右手)側の身頃」という表記にしている。

扇子の男物と女物

茶扇子?など特殊な扇子を除いて、男物と女物では基本的にたたんだ時の長さが違う(男物のほうが長い)らしい。買うときは一応「男物の扇子下さい」と聞くように。

なんせ女物は持っていないので比較のしようがないんだけど、オレの持っている扇子の全長はどれもだいたい22センチなので参考にしてほしい。当然ながら、扇子に描かれている絵柄では区別できない。

ただしひょっとすると、長さの違いは「大と小」程度の扇子のバリエーションでしかないかもしらん。それこそ扇子だけにセンスの違いかも(バカ)。

衿と襟

たぶんどちらを使ってもOK。読みはどちらも「えり」だし。内側に着るものは「衿」その上に着るものは「襟」だとかなんとかあるのかもしれないけど、そこまで厳密に考えなくてもいいと思うし、オレ自身そこまで詳しく知らない。

なお、ウチのサイトでは襦袢の「はんえり」のみ「半衿」と表記して、それ以外はすべて「襟」としている。

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