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着物の寸法の補足説明

着物の寸法に関する補足説明というか注意点を解説しておこう。

体型別注意点

着る人の体型によっては少し注意した方がいい寸法がある。

背が高い人

着丈はどうにかなるにしても裄丈(正確には袖幅)に注意。身長ではなく腕の長さが問題になる。着物の構造上、裄丈は生地(反物)幅に依存しているの で、身長が高い=腕が長いと幅が足りなくなる。おまけに現代人は昔より腕が少し長いようだし。

以前飲み屋で身長185セ ンチ?ぐらいのお客さんに聞いた話だと、浴衣が欲しくて着物屋を訪ね歩いたものの「反物がないですね〜」と断られまくったらしい。

対処法としては、キングサイズの反物など幅が通常のものより少し広い生地を使うとか、袖を「接いでもらう」とか。男物に詳しい着物屋や仕立て屋に相 談してみてほしい。

太っている人

オレ程度なら大丈夫だけど、ウエスト110センチを越えるあたりから身幅に注意。理由は背の高い人の裄丈と同じで反物幅ではが身幅が足りなくなるか ら。聞いた話では、相撲取りの着物は普通の反物では仕立てられないので特注らしい。

対処法も上記と同じだけど、身幅を接ぐのはオレも聞いたことないからなあ……。

肩幅の広い人、肩が「ごつい」人

特に柔道など武道系の経験がある人は、首〜肩まわりの筋肉がモコモコ=ごついおかげで、肩幅や着丈の寸法が、同じ身長の普通の人と比べて少し余分に いる らしい。おそらく相撲取りはこれも絡んでくるので特注なのだろう。

お腹の出ている人は着丈が変わる?

身長が同じでも太っているというかお腹の出ている人は、そうじゃない人と比べて着丈が変わってくることもある。

お腹が出ていない人は左の画像のように凹凸が少ないけど、お腹が出ている人はお腹の形に添うように着ることになるため「前側の」着丈が ほんの少し上がってしまうのだ。

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正確にはお腹だけでなく体の前に厚みがある人、いわゆる「ごつい人」はこうなる可能性がある。ただ、プロレスラーや相撲取りクラスの体型でなけれ ば、そこまで気にするほどの誤差は出ないと思うけど、気になる人は「専門家」に相談しておくれ。対処法はあると思うよ。

肩幅と上半身ダブつきの関係

古着や既製品を買うときに裄丈を気にするのはよくあることだけど、裄丈は肩幅と袖幅を足した総幅であり、肩幅と袖幅のバランスが実はけっこう重要。

人間の体って肩幅(背骨から肩まで)と腕の長さだと腕の長さのほうが長いし、洋服の長袖シャツもそれに倣った作りになってるでしょ。

でも着物の場合は、男性は女性に比べて身長が高い=腕も長いので、男物の裄丈は生地(反物)幅いっぱいにしてあるものが多く、言ってみれば肩幅=袖 幅のような状態で、着る人の肩幅より着物の肩幅のほうが広くなりやすい。

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見頃と袖の縫い目が腕のほうへ寄れば寄るほど、実際の肩幅とのズレ(画像の三角形)が出てきて、それはそのまま上半身の余裕?になる。この三角形が 小さすぎると余裕がなくて窮屈なんだけど、大きすぎると逆に余裕がありすぎてダブつくことになるわけ。

古着(そのまま着用)や既製品でこれに注意することはほぼ無理に近いけど、着物屋で生地から仕立てるあるいは仕立て直しを考えるのであれば、肩幅を 調整することも十分可能になる。

ただし、肩幅を狭くすると裄丈も短くなるので、それを補うためには袖幅を広くする必要があるんだけど……元の生地幅で足りない場合は「接ぐ」しかな いので、やっぱり専門家に相談しておくれ。

長襦袢の前身幅

計算式では、長着の前身幅より襦袢の前身幅のほうが大きくなるんだけど、襦袢にはおくみがなく、襦袢の襟幅より長着のおくみ幅のほうが大きいため、 総幅では長着のほうが大きくなる。

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実際に着比べてみると、長着は体の幅いっぱい+@まであるのに対し、長襦袢はそこまで届かない。これっておかしいんじゃないの?と思うかもしれない けど実はこれでOK。

長着を長襦袢と見立てて長襦袢+長着と同じように着て歩いてみればわかるんだけど、前身頃同士の摩擦というか生地が重なりすぎると、裾がバサバサし て歩きにくい。それを軽減するために、長襦袢は生地が重なりすぎないよう総幅が長着より狭くなってる。

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