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オレの和服の歴史

どうやってオレが和服(着物)をここまで着るようになったか、自伝というか歴史というか人生というか、そんなのをざっくり書いてみようと思う。

10歳前後:着物はエロい&着物に憧れる。

まず最初に、オレは和服云々とはほぼ縁のない、一般的な家庭の生まれ育ち。なので、着物屋の息子とか伝統芸能の家系のようなブーストは当然ながらな い。

子供の頃の記憶だから鮮明に憶えてるわけじゃなけど、そもそも和服っていいなと思ったのは、小中学生ぐらいにテレビでやってた時代劇をはじめとする ドラマの影響が大きいかな。

主役らの大立ち回りする着物姿がかっこよかったのはもちろんだけど、当時のテレビは規制も緩くて、いわゆる「ムフフなシーン」も本格的?ではないに してもちょこちょこあって、なんかこう、洋服や素っ裸より不思議と「エロい」と感じたわけですよ(笑)

とはいえ、子供の自分では着物を着ることができないので、大人になったら絶対に着物で「ムフフ」をするぞ……じゃなく、絶対に着てやるぞと(バ カ)。ただまあ、そんなに強く信念を持ってたわけでもなく、衣装に対する憧れ的な感じだったかなあ。

20代前半:初詣で初めて着物を着る。

時は流れて20代前半。成人式は仕事の関係で出席してないし、未だ着物を着たことはなかった。そんなある年の年末、当時遊んでた連中で初詣に行こ うって話が出たわけ。

そのときふと、子供の頃を思い出して。ああ、今こそついに着物を着るタイミングじゃないのかと。

ウチの親父(今はお空の上)が着物を持ってるのは知ってたので、友達らと初詣行くから着物を貸してほしいって聞いて。したら一瞬驚いたようだったけ ど「おまえももうそんな歳かあ」と貸してくれることになったわけ。

で、当日、着物を着せてもらって(というほどのもんでもないけど)。紺のウールのアンサンブル、モス長襦袢、黒の兵児帯に黒足袋だったかな。

ウチの親父はオレより少し背が低かった&普通の体型だったので、今思えば着丈など少し寸足らずだったんだろうけど、当時はそんなのわからないし、な により着物を着られたことがすごく嬉しかった。

20代前半〜:年末年始は着物、普段は作務衣になる。

それから数年の年末年始は、ウチの親父の着物を借りて初詣だけでなく飲み屋の挨拶回り?にも行ったかな。

初の着物での初詣のとき、周囲は洋服の人ばかりなのでジロジロ見られたり笑われたりするんじゃなかろうかと気が気じゃなかったけど、実際はそんなこ と起きなかったわけで。

初詣(正月)だから着物の人がいてもおかしくないし、そもそも、見ず知らずの他人の服装なんてほとんどの人が興味ないんだなと。それに服装は違えど 友達らと一緒だから、心強いというか気にならなくなったというか。

とはいえ、普段はさすがに着物を着るのも目立つかなあと、通販で作務衣を買って、年末年始以外も飲み屋を中心に少しずつ和服(作務衣)で出歩くよう になった。

20代半ば:着物のオフ会&着物を仕立てる。

そんなある年の正月明け、酔っ払って帰ってきたからか、着物を脱ぎ散らかしたときに羽織紐の結び目を解いてしまってて。結び目固定で金具で着脱する ものだと当時は思ってた。

オレはもちろんウチの親父も結び方はわからないし、本屋でそれらしい本に目を通しても女性の着物の内容ばっかだし。そこで日本語版?ウインドウズ 95が出たばかりの当時、会社の事務所に1台だけ置いてあったPCでネット検索してみたわけ。

無事羽織紐の結び方が見つかって、これで元に戻せるとほっとしたとき、目に飛び込んできたのは「着物のオフ会やります」という文言、なにこれ?そん なのあるの?と。

勢いだけで速攻申し込んで、さらに勢いでウチの親父に事情を説明して着物屋でウールのアンサンブルも初仕立て。今でも憶えてるけど、そのときたまた ま「レッツスパンキー」と「キングガルフ」が支援?してくれてたおかげ。和服を着るような人でこの2つの名前を知ってる人はまずいないだろうけど。

それから数カ月後、仕立てたアンサンブルを持って飛行機に乗って東京へと出向いたオレの見た光景は……他所様が主催だったし詳細は割愛。ちなみに 「第1回」でした、はい。

なんせ和服(作務衣の人もいたような記憶がある)を着た男性女性が周りにいっぱいいるので、着物を着るのにビビる必要なんてねえよと背中を押された 気分だったかな。

それと同時に、オレにもなんとなくわかる高そうなお召し物とその賞賛、後半は酒の席なのにどこか厳かな雰囲気、などなど、駆け出し?のオレが喫煙座 敷のグループで宴会状態だったのもあって、なんかこう「シロウトお断り」のような空気も漂ってたかなと。

20代半ば:ふんどしをもらう。

ちなみに喫煙座敷での宴会中に、オレは当時トランクスだったんだけど、なんやかやあって(未使用の越中)ふんどしをもらった。酔っぱらい連中だから 「今すぐそこの物陰で着替えてこい!」とかムチャクチャ言われたわ、もちろん断ったけど(笑)

ふんどしの現物を見たのは初めてで、正直、こんなのしたくねえよと思ってたけど、着物にはふんどしってのもわからなくはないし、せっかくくれたしな あと、このオフ会以降、着物のときはそのふんどしをするようになった。

その後ふんどしはどうなったか、時系列ぶった切ってその行方をば。細かい時期までは不明。

最初は当然ながら着物のときは主にそのふんどし、作務衣を含む着物以外のときはトランクス、と使い分けてたんだけど、着物の着用頻度が上がってくる (これ以降の話)と洗濯が間に合わなくなってきたし、やがてそのふんどしも破けてしまった。

それからはずっとトランクス……ではなく、ダメもとで立ち寄ったデパートの紳士肌着売場にクラシックパンツとかって売ってて、それを買って使うよう になった。もうこの頃には「着物のときはふんどし」に頭も体もなってたと思う。

そしてさらに着物の着用頻度=ふんどしの使用頻度が上がってくると、作務衣のときもふんどしでいいや、このときもいいや、もういいや……そんなのが 続いて、気がつけばトランクスがなくなってた。

早い話、和服洋服関係なく仕事中もプライベートも、下着は越中ふんどしオンリーになりましたとさ(笑)

20代半ば〜:古着を買う&着物の頻度が増える。

オフ会に行くまでは、着物は着物屋でしか買えない何万何十万円するもの、と思ってたんだけど、ここでついに?参加者から古着の存在を教えてもらうこ とになる。

教わったとおりネットオークションやリサイクルショップを覗くと、本当に着物が数千円でゴロゴロ売っているわけで。よく言われるけど、古着が大丈夫 な人からすれば「おたからの山」に見えるわな。

当時は自分の寸法なんて着丈ぐらいしか知らなかったのに、あれもこれもと片っ端から買いまくって、ほんと暇さえあれば、別の古着が入荷してないかな と同じ店でもしょっちゅう顔を出してた。

実際は寸法や状態など微妙なものが大半だったけど、なんせ数千円で買えたものだから、価格にビビることなく気軽に着ることができた。これが何万何十 万円もするような着物しか持ってなかったら、そうそう着ることはできなかったと思う。

そうやって着物の数が増えると当然着て出歩きたくなり、これまた飲み屋を中心に、今まで作務衣で済ましていたのが少しずつ着物に置き換わっていき、 着物の着用頻度も上がっていくことになった。

30代前半:飲み屋で教育&さらに着物の頻度が増える。

作務衣や着物でよく飲みに行ってると、多少なりとも店の従業員や他のお客さんの憶えもよくなるわけで。そんな中で顔見知りになったのが年配の男性の お客さん2人。別々の店のお客さんなんだけど、たまたま2人とも日本舞踊かなにかの経験者?だとか。

若いのに着物着るって珍しいんだからと、たまに店で顔を合わせばいろんな知識を教えてくれたり事細かい指導?とかをしてくれたわけ。一応言っておく と2人ともいつも洋服だったけど、そこはあまり気にならなかった。

それもあってか、飲みに行くときには作務衣より着物のことが多くなってきたかな。さらにはお客さん2人からの「教育」もあって、寸法を気にするよう になって古着の買い漁りは減り、所作や着方、組み合わせなどにも目が向くようになった。

今でも憶えてるのは、一方のお客さんから「しばらく見ないうちに君も着物が板についてきたね」もう一方のお客さんから「君の着姿は独特だけどそれが すごく似合ってる」ようなことを言われたこと。とりあえずは「お眼鏡にかなった」んだろうなと。

現在はもうその飲み屋2軒には行ってないので、そのお客さん(ら)とは顔を合わすことはないし、当時還暦は過ぎてるようなこと言ってたから、元気で やってるかどうかもわからん。風のうわさでは、片一方の店は閉店したそうな。

30代前半〜その後

実際は上記の「教育中」に、以前参加させてもらったオフ会にもう一度だけ顔を出したことがあるんだけど、これといって目立つことはなかったので省略 してる。

あえて追記するのであれば、30代半ばぐらい?には仕事以外ほとんど洋服を着なくなってて、着ないのをちょっとずつ捨ててたら、仕事以外はほぼ和服 (を着るしかない)状態になってたかなと。

以降は特に何か起きたわけでもなく、ただただ自分の思い描く和服像、和服観に近づくように着続けてるだけ。このサイトが続いてることが、歴史はまだ 刻まれ続けてるってことになるかな。

初詣で初めて着物を着たときからとしても、そこそこの頻度で着るようになるまでオレも10年ほどかかってて、そこからさらに着続けて今に至るわけ で。

だから、真面目に?和服を着たいと考えてる人は、その気持ちをなくさないよう、無理なくできる範囲で少しずつでも着ることを続けてみておくれ。いつ か必ず、その思いと積み重ねが花開くときがくるから。

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