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着物の仕立て、改造編

着物の仕立て直しは、寸法を変えるだけではなく「大幅に改造」することも可能。オレが実際にやった参考例をいくつか挙げておこう。

普通の羽織→袖なし羽織

何着か持ってるのが、普通の羽織から袖を外して「袖なし羽織」にしたもの。

画像のやつは、古着で買ったときに袖にうっすらと大きなシミ?があって、そのまま着用してもわからないレベルだったんだけど、ある日思い立って改造 依頼。ついでに着丈なども調節して、羽織裏も洋服の生地屋で買ってきた綿生地に交換した。

袖を外して肩周りを縫うだけなら、個人レベルのシロウト裁縫でもやれなくはないけど意外と大変。ミシン縫いで縫い目を表に出してもOKならどうに か。

古着でアンサンブルを買った場合、長着(着モノの正式名称)の着丈は直せても反物幅の関係で裄丈が伸ばせないようなら、いっそのこと袖なし羽織+長 着にして、長着の袖に羽織の袖を接ぎ足す(下の参考例)ようなことも可能。

長着×2と羽織→疑似アンサンブル

偶然ほぼ同じ色柄の長着×2と羽織の古着を別々に買った(買い置きしてた)ので「この3つを使って長着と羽織を一着ずつ(=擬似的?アンサンブル) 作ってほしい」と改造依頼したもの。画像はないけど同じ色の羽織もある。

そのままでは寸足らずだったし、着丈と裄丈を伸ばそうにもダメっぽかったけど、ほぼ同じ色柄の生地なんだから「ニコイチ」すればどうにかなるんじゃ ないかなと。

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長 着は、内あげ部分で2つの長着の身頃を連結。長着と羽織の裄丈(袖幅)も、それぞれ残った生地を接ぎ足して伸ばしてある。ついでに長着羽織それぞれの裏地 も、洋服の生地屋で買ってきた綿生地に交換してもらった。

今回は偶然ほぼ同じ色柄の生地が揃っていたのでそれを使ったけど、袖幅伸ばしに関しては、わざと違う色の生地を肩口、あるいは袖口に足すのもアリか と。

普通の綿生地→長襦袢

これは改造依頼というより、専用生地以外からの仕立てを依頼したもの。襦 袢用の生地ではなく、洋服の生地屋から買ってきた綿生地で長襦袢を仕立ててもらった。もちろん関西仕立て。

普通の綿生地は安いし色柄も豊富、おまけに生地幅が1メートルほどあるのが普通なので「生地幅が足りないから裄丈や身幅が出せない」なんてことはま ず起きない。相撲取りぐらいならぜんぜん余裕だから。

注意点がひとつ。柄物の生地を使う場合、柄の向きに上下があると、着物の構造上、前側と後ろ側で柄の上下が逆になってしまう。この長襦袢はそうなっ てます、はい(笑)

着物専用生地から仕立てたものだけが「着物」というわけではない。スーツ生地で作った着物も実際に売ってるし、生地は関係なく着物の形をしていれば それは着物なのだ。

袴用の長着(半着?)

袴を穿くとき、長着そのままだと着丈が長いので尻っぱしょりをするわけだけど、だったら着丈が短けりゃ尻っぱしょりしなくていいんじゃね?というわ けで、袴専用に着丈を短くした長着(半着?短着?)にしてもらった。

短さがわかるように長襦袢の上に重ねてある。裾に見えてる柄の部分が長襦袢の裾。

着丈は約120センチ。オレの長着の着丈より20数センチ短くしてある。この長着は、内あげ分を伸ばしたとしても着丈がけっこう足りなかったので、 どうせなら袴専用にしてしまおうと。

もちろん自分で適当に裾を切って適当に縫うこともできなくもないけど、裄丈や身幅の調整もあったし、やっぱ「プロ」のほうが仕上がりもきれいだし。

袴を自分のスタイルに組み込んでいる人は、こういう方法もあるってことで。

筒袖、舟形袖、もじり袖

袖の形状も実はいくつかあって、寝巻きや温泉浴衣で使われている筒袖は、普通の長着でも売っているものがあるらしい。他にも舟形袖、もじり袖という のもある模様。画 像は参考用に加工修正したもの。

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着物の特徴のひとつとして袂(たもと)の存在があるんだけど、これが状況によってはけっこう邪魔になったりする。これらはその袂(の先っぽ)部分を なくしたもので、袂部分をどれぐらい なくすか、あるいはその形状によって呼び名があるらしい。

筒袖は袂というか袖の下半分をなくしたもの、舟形袖は主に先っちょ部分をなくして船を横から見たような形にしたもの、もじり袖は筒袖と舟形袖の中間 といったところ。筒袖ともじり袖は、袂のポケット的役目はないと思われる。

今どき、常時袂が邪魔になるような状況で着物を着ること、あるいは着ている人はまずいないけど、昔はそれが当たり前だった職業や人もいたので、こう いう形状が考え出されたんだろうなと。

個人的には、台所で洗い物とかしてると、知らず知らずのうちに先っちょだけが濡れてる(卑猥)ことがままあるので、部屋着で舟形袖はけっこうアリな んじゃないかなと思う。

思いついたことはやってみれば?

以上、いくつか紹介したけど、以前読んだ書籍によれば、着丈がくっそ長い(短い)羽織だとか革製の長着だとか、昔の人はけっこういろいろやってる模 様。

こんなのどうかな、こうしたほうが具合いいんじゃないかな、と思いついたことは、自分で頑張ってみてもいいし仕立て屋さんに相談してもいいし、とり あえずやってみればいいんじゃないかと。失敗したら失敗したで「これないな」がわかるんだし(笑)

現代では既製品を適当に組み合わせて着るのが、服の和洋問わず当たり前のようになってるけど、自分が日頃から着る服なんだから自分が具合のいいよう にカスタマイズするってのも、考えてみれば当たり前の発想じゃなかろうか。

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