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和服に関する怪しい?定説:その1

和服、特に着物において「それぐらいキモノのジョーシキだよ」的なことを言われることがあるけど、実際のところ「なんでなの?」と思うことが結構ある。それらを私なりにいくつか検証してみた。

ここに挙げた以外にも、和服を着ているとそういった説にぶち当たることがあるだろうけど、そんな時には「なぜなの?」と、様々な角度から考えるクセをつけてほしい。その2はこちら

無双の羽織紐はオシャレだから使う?

普通の羽織紐とはちょっと違った形状をしている無双の羽織紐。羽織紐でオシャレをしてみよう、といった感じで使うことが多い。この羽織紐、普通のものと違って結び目がないので、羽織を脱ぐときはS字の金具をはずさなければならない。

これは私の推測なんだけど、無双の羽織紐を使う場合は、オシャレだのなんだの以前に、基本的に羽織を人前で脱がないことが前提なんじゃないかな?

というのも、羽織紐を羽織(乳)に直接繋いでいる人もいるし、羽織を脱ぐことを想定しているのであれば、普通の羽織紐で結び目をほどけば脱げるようにしているのが「しぜん」と思うんだよ。言い換えれば、紐に付いてる金具は紐の交換用で、羽織の着脱用ではないのでは?というわけ。

学生服とかで、表のボタンを留める「裏ボタン」というのがあったでしょ。言うなれば、この裏ボタンが羽織紐におけるS字の金具のようなものかな。

表ボタン(羽織紐)を裏ボタン(S字金具)で学生服(羽織)に取り付けるんだけど、学生服(羽織)を脱ぐ時には表ボタン(紐)をボタン穴から外して(紐をほどいて)脱ぐわけで、裏ボタン(金具)を外して脱ぐことはまずないでしょ?

裏ボタンと違ってS字金具は取り外しが楽ではあるんだけど……もちろん、無双の羽織紐を使うかどうかは自由だから、あとは各自が考えて判断してくれ。

ちなみに私は羽織を脱ぐことが多いので、この羽織紐を持っていても使うことがあまりない。袖なし羽織を着るときやムチャクチャ寒い時など、羽織をまず脱ぐことはない状況でのみ、使うようにしている。

着物を着たら必ず扇子を帯に差す?

当たり前のことだが、扇子はパタパタやって涼しくするもの。極端に言えば、折りたたみできるウチワなのだ。だから、帯に扇子を差しているのは、実はキモノファッションの一環でもなんでもない、ただの実用的な発想でしかない。

手で持たずにポケットに入れているのと同じで、扇子を手で持っていても邪魔なので、すぐ取り出して使えるように帯に差しているだけ。夏場の浴衣で、帯の結び目あたりにウチワを挟んでいたりするが、ウチワは邪魔くさいから背中で、扇子はコンパクトだから前に挟んでいるわけ。

なお、帯に差す方向は、ウチワと同じく手に持つほう(扇子の中心部(要)側)を差すように。そうしないとパタパタするほう?が帯でこすれて痛みやすくなる。

あと、扇子をかばんに入れておくなど、常備すること自体は個人の自由だが、たまに季節関係なく、和服の時に「必ず」帯に差してる人もいる。冬場のクソ寒い時期、ウチワを持って誇らしげに出歩く人がいると思うか?少しは季節も考えて差すようにしないと笑われるかも。

また、冠婚葬祭や落語家さんなど、季節に関係なく持っている人もいるが、あれはパタパタする以外の目的があるから持ってるわけ。

冠婚葬祭においては一種の礼装アイテムになっているだろうし、落語家に至ってはなんにでも変化する商売道具だからな。それに、その人らの持っているモノをよーく見てみると、おそらく扇子ではなく「扇」だ。

長着の胸元から肌着が見えてはいけない?

これはよく言われるが、実際のところは「違反」ではない。もしこれがアウトだとすると、現在の着物の着方がほぼ否定されてしまう。

なぜなら、長着(着モノの正式名称)とよく併用する襦袢には、専用の肌着としての役目(解説)もあるので、それが長着の胸元から見えるのは、肌着が見えるのと同じことだからだ。襦袢はセーフで他の肌着がアウト、なんてのは都合が良すぎる。

時代劇では、町人が変な肌着(腹掛け、どんぶり)の上に直接長着を着ていて、胸元からその首回りがのぞいてることがある。あるいは昭和の始め?ごろの写真で、長袖肌着が長着の胸元や袖の部分から出た状態の男性が写っているものもある。洋服だって、シャツの胸元から下着が見えるのを嫌う人はいるし、Tシャツの襟をわざとシャツから見せている人もいる。

結局、個人の好きずきやセンスで好きなようにしていい(解説)ということだ。そのかわり、

ということには注意してほしい。中にはガンとして「襦袢以外はダメ!襦袢は特別!」と譲らない人もいるが、その人とは着物に対する考え方が違うので、適当に返事してスルーするように。

羽織の袖口から長着の袖が見えてはいけない?

ごく一般的には、羽織の袖口から長着の袖が出てるとかっこ悪い、と言われているが、これも肌着が云々と同じで、着方として間違っているのか?となると、これまた「違反」というわけではない。最終的には個人の判断だ。

羽織と長着を一緒に仕立てる場合、羽織の裄は長着の裄より1〜2センチ長めに作るので、長着の袖が出ることはない。出るのはこの逆で、長着の裄のほうが羽織より長い場合に起こる。出したくない人が古着などを買うときには、注意したほうがいいだろう。

まあどこか「らしい場所」に行くのならまだしも、普段着として着る範囲ならちょっとぐらいはセーフだと思う。以前は私も気にしていたが、もう今は少々は気にしない。

ちなみに着物を着ない友人に聞くと、色違いがちょっと出ているのなら、それはそれでアリなんじゃないの?と言っていた。ただ、あまり出過ぎるのは、羽織の裄がかなり短い証拠にもなるのでほどほどに。

帯は時計回り(右巻き)に締めないといけない?

着物は右前に着るのだから右巻きがいい、と言われることがあるが、結論から言うと、時計回り(右巻き)にしようが反時計回り(左巻き)にしようがどちらでもいい。

締め心地や着崩れのしやすさなどの実用面は、どちら向きに締めても同じ(実験済み)なので、利き腕や結びやすさなどで、自分に具合の良い方向に締めればいい。ただし、帯の柄に上下の概念があるものは、それも考えておくように。

また、帯を回す方向が時計回りか反時計回りかによって、どっちがどっちだか忘れたが、関西結び関東結びと分ける人もいるが、これも区別する明確な裏付けはなし。知り合いに頼んで、プロの衣装係さんに関西結びと関東結びについて聞いてもらったのだが、「そうしてなんでも区別したがる人がいますからねえ。勝手に言ってるだけでは?」との返事だったそうだ。

Last 2011/12/15. Copyright (C) since 2007 バカガエル.