kimono-Wa-Fuku

トップページ>考察小ネタ2

和服(着物)に関する怪しい?定説その2

和服、特に着物において「それぐらいキモノのジョーシキだよ」的なことを言われることがあるが、実際のところ「なんでなの?」と思うことが結構ある。それらを私なりにいくつか検証してみた。

ここに挙げた以外にも、着物を着ているとそういった説にぶち当たることがあるだろうが、そんな時には「なぜなの?」と、様々な角度から考えるクセをつけてほしい。その1はこちら

同じ生地の羽織、長着、襦袢を着なければいけない?

これはまったくのデタラメで、その1の後半にあった肌着が云々、袖が出るのは云々と同じく、礼装では必須かもしれないが、それ以外の状況であれば、同じものでも別々のものでもOK、各自が判断して好きに着ればいい。

確かにアンサンブル(対)の場合は、同じ生地から羽織と長着(着モノの正式名称)を仕立てるので、そのまま着れば、同じ生地の羽織と長着を着ることになるが、アンサンブルのものは「必ず」同時使用しなければいけない、というわけではないのだ。

色柄は違えど、生地の素材や織り方は一緒ではないのかって?それもまったく意味不明。静電気が起きやすい組み合わせもあるだろうが、着ているモノの素材がバラバラでもぜんぜん問題なし、例えば縮緬と絽を組み合わせても問題なし、ついでに言えば単衣仕立て+袷仕立ても当然OK。

オレの画像(解説)を見ればわかるが、基本的に袴着用時を除いて、羽織と着物は別々の色柄にしているし、生地の素材もバラバラだ。唯一あるとすれば、絽などのスケスケ長着を着ると透けて見えるので、夏場向きの色柄&薄手の襦袢を着ていないとカッコ悪い、といったことぐらいだろう。薄手の長袖シャツの下に、キルティング加工の長袖肌着を着る人はいない、というわけ。

スケスケ着物は風が通り抜けて涼しい?

夏場にフォーマルな着方をするときに使われる、絽などのスケスケ着物。普通の生地と違ってスケスケなので、風が通り抜けて涼しいですよ!夏場の着物は涼しいですよ!と言う人もいるが、実はこれ、実際にやってみればわかるのだが、かなりウソくさい。

そんなことを言う人の体型を確認してみると、多分太っていない、どちらかといえば痩せ型体型なので、脂肪がない分涼しいのは当たり前。雑誌などに掲載されている涼しげに見える写真も、涼しい場所で「涼しく見えるように手間暇かけて」撮影しているのだから、これまた涼しげに見えるのが当たり前。

また、スケスケ着物では襦袢も使うので、夏場の浴衣などのように長着しか着ていないのに比べれば、どんな生地であれ、1枚余分に着ていることには変わりはない。おまけに、風が吹かなければ風も通り抜けようがないし、都会のヒートアイランド現象のように空気そのものが熱せられていると、風もクソもあったもんじゃない。

結局、(普通の長着と襦袢を着ているよりは)夏場のスケスケ着物は(一応隙間が空いているので温度の低い風が吹くと)風が通り抜けて涼しい(かもしれない)ですよ!であり、肌着を除けば夏の暑い時期に2枚も着るのだから、少しでも涼しくなるように、ということなのだ。

ただしひとつだけ、スケスケ長着のほうが涼しい「と思える」ことがある。

スケスケ長着を着ていると、下に着ている襦袢が透けて見えるのだが、これを他人が見ると、下に着ているものが透けているから涼しそう!と、自分ではなく「他人が視覚的に涼しさを感じる」わけ。風鈴の音を聞くと涼しく感じるが、それはあくまで「音を聞いた人」が感じることであって、風鈴自体は涼しくも何ともないのと同じようなものだ。

あくまで私の推論だが、スケスケ着物は、今でこそフォーマルの装いとされているが、元々は金持ちが「他人に涼しく思わせる」オシャレのために着るようになった、ただの遊び着だったのかもしれないな。

男の和服姿はお腹の出た人のほうが似合う?

これはよく言われるのだが、根拠がまったくない。

もしこれが事実なら、日舞や歌舞伎、大衆演劇などの「芸能関係で和服が制服」の人は、見た目が重要なのだからお腹が出ていない=太っていないと話にならないのに、実際、太っている人はそんなにいないはずだ。それこそ、いわゆる二枚目の役者さんらは、どちらかというとスレンダーな人がほとんどだろう。

似合う似合わないは、ファッションセンスなども少しは関係してくるが、どれだけ和服を着慣れているかが最大要因だ。細身には細身なりの、太った人にはそれなりの、早い話が自分の体型にあった着方があって、それを熟知していればどんな体型でもカッコいいわけ。昔の痩せ型の人が、みんなタオルを入れてたわけないでしょうよ。

着方の参考として、細身の人は下半身はピッタリ、上半身はほんのちょっとだけ余裕を持たせる(解説)ように着てみると、かなり見た目が違うと思う。あと、歩く時は、胸を張って背筋をしっかり伸ばす(解説)ようにするだけで、これまたぜんぜん違うよ。

もちろん、自分サイズの着物を着ることが重要であるのは言うまでもない。

ところで、なぜお腹の出ている人のほうが似合う、などと言われるようになったのだろうか?推測だが、男で和服、特に着物を着ている→あくせく働かなくてもいい→お金を持っている→よく食べる→お腹が出ている、という、変な想像連鎖ができているからかもしれない。

「粋な着こなし」「素敵な着こなし」をするには?

特に着物を着ているとよく言われる褒め言葉?に、「粋な(素敵な)着こなしですね」というのがある。誰でも一度くらいは見聞きしたことがあるだろう。そして、よし!オレも粋に着こなすぞ!と、いろいろなモノを買って常日頃からがんばっている人もいるとかいないとか。

結論から言うと、残念ながらそんなものは存在しない。だから実践も不可能。

なぜなら、「着こなす」とは着る動作の習熟度で「着慣れる」とほぼ同じ意味合い(解説)であり、着こなすことができているからこそ「粋」に見える(解説)からだ。言い換えれば、「粋」の中に「着こなし」は含まれているわけ。

言葉としては、言いたいことはわかるのだが、「頭痛が痛い」「素敵に美しい(美しさ、ではない)」と言っているのと同じなので、それぞれ 「粋な着こなしですね→粋ですね」 「素敵な着こなしですね→上手に着こなしてますねor着こなしているから素敵ですね」といった表現が正解。

だいたい、「粋」「着こなし」なんて言葉は、着物を着ている人を見たら、あるいは呉服屋のセールストークとして、脊髄反射で口から出てくる社交辞令のようなものなので、それをいちいち真に受けるほうがおかしいんだけどね。

まあ、着物を着こなしたいのであれば、目先のオシャレ云々ではなくとにかく着ること。そうして着物が自分の身体に馴染んだ上で、自分なりの個性を自然に反映させることができれば、おそらく「粋ですね!」と言われるようになるんじゃないかな。

Last 2011/12/15. Copyright (C) since 2007 バカガエル.