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帯の結び方の原理は一緒

着物の帯の結び方はいろいろあるけど、基本というか原理はほぼ一緒で、ある一つの結び方が基準となってそこから派生していくような感じ。この原理がわかれば、角帯でも兵児帯でも好きなように結べるんじゃないかなと。

結び方の基本手順

どちらが「手」「垂れ」ではなく、最初の段階で「上になるほうを青」「下になるほうをオレンジ」と捉えてほしい。毎度のごとく、どちらでもいけるよう鏡像(左右反転)も載せておく。

スタート状態。2つを交差させる。

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「オレンジ」の下に「青」を通して、

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「オレンジ」を上へ折り返して、

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「青」を下に折り返して、

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折り返した「オレンジ」の下に「青」を通す。

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以上が基本手順。帯がどうこうではなく「紐」の両端を結ぶ一番簡単かつしっかり締まる方法はこの一通りしかない。

手順3と手順4を入れ替えて、手順5で「折り返した「青」の下に「オレンジ」を通す」という方法もあるにはあるけど、理由があって帯ではやらないだけ。

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手順通りだと結び終わったあとの両端が左右=紐と同じ方向になるけど、入れ替えた手順だと結び終わったあとの両端が上下=紐に対して垂直になるので、結び目の「完成形」としてはちょっとイマイチ、というわけ。

ところで、手順通りの結び方を帯状ではなく紐状で表すとこんな感じになる。

帯なので「手順」などと大層な書き方をしてるけど、実はこれ、誰でも紐を結ぶときにやっている「固結び(別称:真結び、本結び、横結びなど)」を解説しているだけにすぎない。

角帯は平面で裏表があり、折り紙のような結び方をするのでイメージが掴みにくいだろうけど、兵児帯だと紐状になるのですごくわかりやすいはず。

だから「手」「垂れ」を決めて体に巻き付けて「紐を結ぶように普通に結んでみて」と言えば、今まで1度も帯を結んだことがなくても偶然結べてしまうこともあるわけ。

貝の口結びと神田結びは実像と鏡像の関係?

一般的な帯の結び方として「貝の口結び」があるけど、これと「神田結び(ウチでは未解説)」は、結ぶ手順としては実像と鏡像の関係「手」と「垂れ」が逆になっているだけ。

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よって、最初に解説した手順1〜手順5は、その人が帯を巻く方向によって、一方が貝の口結び、もう一方が神田結びの手順でもあるわけ。

両者の実用的な違いは、神田結びは「垂れ」もV字に折って帯幅を半分にする=細くなるため、おそらく貝の口結びよりしっかりきつく結ぶことができるんじゃないかなと。

ということは、貝の口結びの手順で神田結びのように「垂れ」側を折って結んでやれば、しっかりきつく結べる貝の口結びができるんじゃないか……うん、できるよ、やりたい人はやればいいと思う。

ただ、神田結びは別名「駒結び」とも呼ばれている。これはオレの推測だけど「手」「垂れ」の位置関係はどちらでもよくて、結び目の中心部分が「貝(の口)」に見えるか「(将棋の)駒」に見えるかで呼び分けてるだけかもしらん。

ちなみに、神田結びの手順で貝の口結びのように「垂れ」側を広げたまま結ぶと「垂れ」がくちゃくちゃになってしまうのでやらないように。

手順2からの派生:片ばさみ

最近やってる人が多い?結び方「片ばさみ」は、手順2からの派生となる。オレンジ=手、青=垂れ、だ。

オレンジ(手)を折り返さずに青(垂れ)を折り返して胴体部分に突っ込んでやれば、

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片ばさみのかんせー。

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片ばさみは「手」に「垂れ」を1回巻き付けているだけで、結ぶというより帯の張力?で形を維持しているような感じ。

よって、胴体に巻いている部分が緩むと「垂れ」を押さえる力が弱くなりさらに緩んでしまうので、お腹を引っ込めるなりなんなりしてしっかり帯を巻くように。

手順3からの派生:浪人結び

片ばさみのように帯の張力で形を維持する結び方「浪人結び(ウチでは未解説)」は、手順3からの派生となる。オレンジ=手、青=垂れ、だ。

オレンジ(手)を折り返したあとに青(垂れ)を折り返して胴体部分に突っ込んでやれば、

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浪人結びのかんせー。

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片ばさみとの違いはオレンジ(手)を折り返すかどうかだけ。その分、胴体部分が緩んでも片ばさみよりは型くずれしにくいとは思うけど、緩まないにこしたことはない。

手順3(4)からの派生:片花結びA(B)+@

主に兵児帯の結び方として使われる「片花結び(ウチでは未解説)」は、手順3あるいは手順4からの派生となる。この解説図からもわかるように、兵児帯だけでなく長ささえあれば角帯でも可能だ。

※2021/01/04追記:元は「片縄(なわ)結び」としてましたが、どうやら「片花(はな)結び」が正式のようなのでそちらに変更しました。私が聞き間違えて憶えてたようです、すみませんmm

手順3でオレンジをもう一度折り返して二重にして、あとは手順通りにすれば、

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片花結びAのかんせー。

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手順3はそのまま、手順4で青を折り返して二重にして、あとは手順通りにすれば、

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片花結びBのかんせー。

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AとBはオレンジと青どちらを二重にするかの違いで、便宜上オレが勝手にA(B)としただけ。別々に名称があるかどうかは知らん。

ちなみに、手順3手順4ともに折り返して、オレンジと青両方を二重にするとこんな形になる。

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世間ではこれをなんと呼ぶかというと、そう「ちょうちょ結び」だ。

ほどけず見た目がそれなりならOK

以上、手順ごとに派生を解説してみたけど、帯の結び方はあーだこーだと、偉そうに言うほど難しいことをしているわけではないのはわかってもらえただろうか。

結局、ほどけたり緩んだりしにくく、見た目がそれなりで具合がよければ、どんな方法で結んでもかまわないわけ。現在のオレは結ぶのすらイヤになっているので、こんな方法(解説)で締めているだけだし。

同じ結び方をしても、角帯と兵児帯では結び目の見た目がかなり違って見えるのは、角帯は厚め硬めで幅が狭い、兵児帯は薄め柔らかめで幅が広いという、単純に帯の性質?が違うからってだけ。羽織紐の平組紐と丸組紐でも同じことが言えるかと。

ちなみに、ここで解説していない結び方として袴のときにする一文字結び(解説)がある。一文字結びは片なわ結びAの変形で、オレンジ(垂れ)を二重三重に重ねて台座を作り青(手)で全体を巻き込んでいる。

もうひとつ「虚無僧結び」ってのがあって……虚無僧じゃないから知らん(笑)

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