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和服の生地(反物)について

男物に限らず、和服の価格を左右する最大要因かつ一番謎が多いのが生地についてだろう。生地の素材には何種類かあるので、それぞれの特徴を知っておくのもいいかと。

なお、着物専用の生地は反物(たんもの)と呼ばれるけど、反物のもともとの意味は「一着分の生地≒商品名」なので、以降は総称として「生地」と表記しています。

生地の名称?の解読方法

生地に関して着物屋(のサイト)やオークションなどを覗くと、なにやら呪文のような商品説明がされている場合が多いけど、あれの解読というか解釈の仕方はざっくりこんな感じだ。

和服の場合によくある◯◯つむぎ、◯◯織りってのは生地の銘柄。◯◯部分に生地を作ってる地域名(大島紬、西陣織など)が入ってる場合が多いかな。

銘柄を知っている人は素材や製法も出てくるけど、生地ごとの特性は素材からくることも多いので、銘柄がわからない人は必ず素材を確認してほしい。

銘柄はそこまで知らなくても和服を着る上ではさほど問題ないので、興味がある人はどうぞ。ちなみにオレは有名な銘柄というか名前だけは聞いたことある程度。詳細は知らんし勉強する気もないのであしからず。

では以下、和服でよく使われている生地の素材を簡単に解説(個人的な感想も含む)しておこう。解説にある洗濯に関してはこちらも参照しておくれ。

素材別解説:正絹(しょうけん)

いわゆる絹糸で織られた生地、シルク。国内産の絹糸100%の生地を正絹と呼ぶ……のかどうかは知らない。なお、似たような名前の「シルック」は化繊(後述)だ。

特徴

正絹の生地は有名な銘柄がいくつかあって、大島紬や結城紬も正絹生地。古着だと銘柄不明のものもある。ペラペラの薄い生地なんだけど、肌触りの良さや柔らかさなどの品質は一般的な生地の中ではピカイチ。洋服でもシルクのものはちょっと別格だし。

価格

高品質なものが多いだけに新品で買うと数万円はザラ、何十万円クラスもゴロゴロあり、一般人の財布にはあまり優しくない。古着であれば数千円とかでもあるけど生地の経年劣化には注意。掘り出し物を見つけたらウハウハかも。

洗濯など

新品を買うのであれば、価格から考えて自宅で洗濯できないだろうし専門店に頼んだほうが無難。言い換えれば風合いとかなんとか気にするなら、クリーニングにぽんぽん出せるぐらいの財力?がないとしんどいかと。オレのように古着メイン&少々気にしない人ならどーにでもなるけど。

素材別解説:木綿(もめん)

いわゆる綿糸で織られた生地、コットン。木綿と綿の違いは……知らん(えー)木綿の場合は、そのー、なんかそういう「木」があるんじゃないの?(適当)ただ、木綿生地も綿生地もなにかの綿花から製糸されてる……と思う(ホント適当)。

特徴

一般にはあまり知られてないけど正絹と同じく日本各地に産地(織り元)があって、色柄もかなり豊富。正絹ほどしっとり?した肌触りではないけど同等 クラスのものもあるにはある(ただし高価)。一般的に「浴衣」と呼ばれるものは綿100%が普通で、それ以外でも肌着下着や洋服でも広く使われていて汗を 吸収しやすい素材。

価格

一部の特殊なものを除けば、新品でも洋服の量販店価格とまではいかないまでも正絹に比べてぐっと安価なので、財布にはそこそこ優しいものが多い。ただし古着に関しては、タンスで眠らせるほどの高級品がないからか、浴衣以外はあまり出回っていない。

洗濯など

新品でも正絹ほどビビることはないだろうから、自宅で洗濯するハードルは下がるかと。洋服の綿シャツのようにややシワになりやすいので、アイロンがけは必要になるかもしれない。

素材別解説:ウール

主にスーツやブレザーに使われている、羊の毛から作った生地。フェルトや毛糸もウール。襦袢の生地でたまにあるモスリン(メリンス)もこの一種。

特徴

産地はあるらしいけどオレは詳しく知らない。出回っている色柄は派手めなのが少なく、茶、紺、黒、グレー、無地あるいは小さな柄が多い。言い換えれば、派手さはないけど落ち着いた雰囲気の色柄が多い。

羊毛だけに結構あたたかく、正月など冬場をメインに着るのであればかなりオススメ。逆に夏場だと暑いのでムリ。サマーウールという薄手の生地もあるけど、実験の結果、やっぱり夏場にはちょっとムリ。

価格

新品だと木綿生地(+@)ぐらいの価格かな。古着では結構目にするので、長着や襦袢として完成した状態では一番入手しやすいと思う。

洗濯など

もちろん自宅で洗濯は可能。ただ、他の生地と比べてウールがもっとも虫食いの被害に遭いやすいので、タンスなどへ収納する場合には防虫剤なども準備したほうがいいかもしれない。

素材別解説:化繊(かせん)

化学繊維、略して化繊。ポリエステルだのレーヨンだのいろいろある。人絹(じんけん)も化繊のこと。先ほど出たシルック、テトロンなどは化繊生地の商品名。

特徴

新品の既製品で売られている着物は、浴衣を除けば化繊生地である場合が多い。色柄もそこそこある。そこまで風通しや吸汗性がよくないので、暑い時期にはあまり適さないと思う。あと、よく使われるポリエステルは今まで挙げた自然素材、特にウールとは静電気の関係で相性がよくないので組み合わせには注意。

価格

生地単独で売っているには売っているけど既製品の着物がメインで、それであれば新品でもそこそこの価格で買えたりする。古着だと長襦袢でよく見かける。

洗濯など

洋服でも広く使われているように、洗濯に関しては全生地中一番の手軽さ。洗濯機にドボンでOK、もともとシワになりにくいのでアイロンもさほど必要ないだろう。

素材別解説:麻(あさ)

麻にもいろいろあるけど、和服に使われているのは「本麻」と呼ばれるもの。◯◯上布(じょうふ)◯◯縮(ちぢみ)といった名称の生地はだいたい麻生地だ。

特徴

ざっくりというかゴワゴワというかザラザラした肌触り。生成り(きなり)と呼ばれるのがもともとの色で、染めるなどしていろいろな色柄がある……らしい。詳しくは知らん。

主に夏場など暑い時期用の生地で、通常の織り方をした生地の中では一番風通しがよく、吸汗性もバッチリ。そのせいか麻生地のものは着てもけっこう軽く感じる。逆に言えば風通しがいいので寒い時期にはムリ。

価格

江戸時代などはるか昔は安価だったらしいけど、今は新品だとお手頃価格とは言えない模様。古着でもたまにあるにはある。掘り出し物を見つけられたらラッキー。

洗濯など

もちろん洗濯もできるけど、ややシワになりやすいのと、他の生地より余計に縮むことがあるので要注意。

混合型、特殊な素材

生地を織る段階で、単一素材の糸だけでなく別の素材の糸も使っている、いわば混合型のような生地もある。糸を混ぜることによってどういった生地になるのかはわからないけど、なにかしらの利点というか改善がないとやる必要がないだろうから、きっとなにかあるんだろうよ。

よく見かけるのが綿麻(綿+麻)。綿糸を混ぜることによって麻のゴワゴワ感が少し薄れるとか、そんなところじゃないか(適当)?化繊生地でも、ポリエステルとレーヨンの混合型とかあるけど……ウーン、静電気が起きにくいのかなあ(かなり適当)。

あ と、ごくまれに上記の素材以外から作られた生地もあって、ウチにリンク張ってもらってる織り元さんは葛(くず)という植物から「葛布」なるものを作って る。

ちょっと縁があって?葛布で仕立てた袴を触らせてもらったことがあったんだけど、和紙で作っているのかと思うぐらいすごく軽くてびっくりした。ただし、手間暇かかってる珍しい生地なので、買うのであれば財布はとてつもなく軽くなる価格だった(笑)オレの代わりに余裕のあ る人はどうぞ。

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