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着物の採寸場所とその名称

長着(着モノの正式名称)、羽織、襦袢の各部には名称があり、それぞれが寸法(サイズ)を測る場所と密接に関係している。どの名称がどの部分を指すか図解しておこう。

各部の寸法をどうやって割り出すかはこちら

長着の場合

長着がすべての基本になっている。破線は表面にある生地の連結部分(縫い目)。

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細かく言えばここに書いている以外にもいくつかあるんだけど、とりあえずこれぐらい憶えておけば充分かと。

着丈(きたけ)

長着の肩から裾までの長さ。正確には着丈ではなく身丈(みたけ)というんだけど、諸事情(後述)により着丈と表記されていることが多い。このサイトの表記も着丈で統一している。

古着を買うときなど着丈を測りにくい場合は、背中の縫い目を襟の下から裾まで測って、それに1センチ足した数値でもたぶん大丈夫。

前身頃、後ろ身頃(みごろ)

前身頃は横の縫い目からおくみの縫い目まで、後ろ身頃は横の縫い目から背中の縫い目までの、それぞれの幅。身頃は襟や袖などと同じパーツ?名で、寸法の場合は(前後)身頃幅、略して(前後)身幅と言うことが多い。

内あげの位置から裾までは、前身幅後ろ身幅それぞれ同じ寸法で通してあるはずだけど、裁縫ミスなのか意図的なのか、たまに古着で同寸法で通してないものもあるので注意。

裄丈(ゆきたけ)、肩幅(かたはば)、袖幅(そではば)

裄丈は背中の縫い目から袖の先まで、肩幅は背中の縫い目から袖の縫い目まで、袖幅は袖の縫い目から袖の先まで。よって、肩幅と袖幅を足したものが裄丈になる。

だったら裄丈だけでいいのでは?となるけど、同じ裄丈の寸法でも肩幅と袖幅の寸法のバランス、例えば同じ裄丈70センチでも肩幅35袖幅35の人もいれば、肩幅33袖幅37の人もいるってわけ。

それと、解説画像をよく見れば違いがわかるように肩幅と後ろ身幅は同じではない。内あげから肩にかけてまっすぐではなく若干斜めになってるでしょ。後ろ身幅より肩幅のほうが若干広いことが多い。

袖丈(そでたけ)、その他

袖丈は袖の上から下までの長さ。人形は袖の脇口あたりの本体と袖が分離している部分の名称。オレはそのまま「にんぎょう」と読んでるけど、分離している形状が「人」の漢字に似ているからだと思うので「ひとがた」かもしらん。

内あげは腰のあたりに入ってる(ないものもある)縫 い目というか、着丈を調整するために腰のあたりで生地を縫い込んでる部分の名称。内あげの位置は表と裏で異なっていて、裏のほうが位置が少し高い。

襦袢(長襦袢)の場合

襦袢はこんな感じ。特に記載のない部分は長着と同じ。

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襦袢の人形部分はたまにないものもある(解説画像は「ないもの」になってるけどスルーよろしく)けど、特にどうこういう問題はないと思う。長襦袢は基本的に裾を折り返して着丈を調整するので、長着のように内あげがないことが多い。

長着と違って広幅の生地を使っていることが多く、その場合は背中の中心に縫い目がないので、肩幅は袖の縫い目から反対の袖の縫い目まで、後ろ身幅は横の縫い目から反対の横の縫い目までと、単純に長着の倍の幅である総幅(全幅)になる。

ちなみに左端と右端の画像がどちらも「表」になっているのは、長襦袢には2種類の形状があるから。詳しくは襦袢(長襦袢)の解説を参照しておくれ。

羽織の場合

羽織の場合はこんな感じ。これも特に記載のない部分は長着と同じ。

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羽織には人形とおくみ、内あげが存在しない。人形がある羽織?それはたぶん女物。

羽織は背中に縫い目があるので、前後身幅は長着と同じ測り方でいい。解説画像をよく見ればわかるように羽織は着丈が後ろより前のほうが少し長いので、着丈を測る時には背中側で測るように。

袖下から裾にかけて左右にある三角翼のようなものは「マチ」と呼ばれる部分。寸法に関しては気にしなくていいだろう。

おまけ:身丈と着丈の違い

身丈と着丈を正確に説明するとこうなる。

>身丈:着物(長着など)の肩から裾までの長さ。

>着丈:着物(長着など)を「着た状態」の肩から裾までの長さ。

似たような意味で二つの名称があるのは「着た状態」とあるように男性女性(男物女物)で着物の着方が違うから。

男性(男物)はそのまま着るので「身丈=着丈」になるんだけど、女性(女物)は「おはしょり」という折り込み?を腰の部分で作って着るのが一般的なので、身丈と着丈が同じにはならず「身丈=着丈+おはしょり分」となるわけ。

ちなみに対丈(ついたけ)という言葉があって「対丈で着る」などと使う。これは「おはしょりを作らずそのまま着る→身丈と着丈が一緒→対(同じ)の丈」という意味だと思われる。本当のところは知らん(笑)

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