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和服(着物)を「着こなす」とは?

和服姿が珍しいからか、特に着物を着ているとかなりの確率で言われる言葉のひとつに「着こなしてますね」というのがある。この言葉についてオレなり の解説しておこう。

着こなす=着慣れる=経験を積むこと

和服を「着こなす」ってのは「着慣れる」と同じだとオレは考えてる。少し言葉を変えれば「板につく」もそれかな。

なので、和服を着こなせるようになるには、何度も何度もとにかく着まくって和服を着た時間=経験を積み重ねていくしか方法はない。裏を返せば、経験 がなければ着こなすことは不可能、どうあがいたって無理。

例えば洋服で考えてみよう。

伝統芸能の家系だとかじゃないかぎり、ほとんどの人が生まれたときから洋服ばかり着てきたはず。10歳の子供だと単純に考えて約10年間、ほぼ毎日 のように洋服を着てきたことになる。

当 然ながら、あれこれ教えずとも自分で手早く着ることできるし、振る舞い方もごく普通。それができるのは、10年x365日x16時間(睡眠8時間)= 58400時間、3歳からだとしても40880時間、5歳からでも29200時間かけて「洋服を着慣れた」からこそじゃなかろうか。

さて、あなたは今まで何日、何回、何時間、和服を着ましたか?

必要な時間は1年通し&6000時間?!

では実際どれぐらいの時間が必要なのか?子供と大人では、物事の処理の仕方というか要領や効率も違うだろうから、それなりの年齢の人なら、いざ和服 を着始めてそこそこ着慣れるようになるまで何万時間もは必要ないと思う。

それに経験が増えれば増えるほど、着こなし度?が無限に上昇していくわけでもなく、ある一定のところまでくれば横ばい状態になるだろうし。

オレが適当に考えるに、まるまる1年間ずっと和服しか着なければどうにかなるんじゃないかなーと。さっきの計算式で行けば10年の10分の1= 5840時間、だいたい6000時間ってとこか。

しかし1年間ずっと和服しか着ないってのは現実的に不可能だから、週末土日に8時間ずつ着たとして7〜8年、 これに平日2時間を加えれば4〜5年、ってところかな。まあ実際は6000時間もは必要ないだろうし、こんなにかからないだろうけど。

ただ、これはあくまで「着ること」だけなので、年間通じて着るつもりであれば、四季の移り変わり、季節に応じてどういったものをどう着ればいいか経 験するために、時間の累積に関わらず「最低1年間」は必要だろう。

少しずつでも着ていれば必ず「こなせる」

とはいえ、日記でもつけなきゃ今まで何時間着てきたかは確認のしようがないので、洋服と同じように「ひと通り自分でこなせる状態」が目安になると思 う。仮に洋服がなくて も、和服だけで普通に生活できるような感じだ。

一人でさっさと着られるのは最低条件、所作や動作、歩き方などもしぜんに普通にできて、もっと拡大するなら状況別の使い分けや維持管理など、それこ そ「洋服と同じレベルで」できるようになる必要がある。

裏を返せば、そうなるまでは「着こなせてない状態」なんだけど、どこの誰であろうと、今まで和服を着 たことなければスタートラインは一緒、ひと通り自分でこなせるようになるまでは誰であろうと「着こなせてない状態」なんだから、恥ずべきことでもなんでも ない。

大変そうに思うかもしれないけど、少しずつでもいいから真面目に?和服を着ていれば「時間はかかるけど」いつか必ずできる=着慣れる=着こなせるよ うになる。最初に書いたように、ほとんどの人が洋服で実際にやれてるんだから大丈夫、がんばれ!

おまけ:「粋な着こなし」をするには

「粋」についてはこちらで解説しているけど「粋な着こなし」という言葉もよく聞くし、それを目指して?ハッスルしてる人もいるだろうから、オレなり の解釈を書いておこう。

そもそも「粋な着こなし」という言葉は実質存在しない。例えるなら「痛い頭痛」のようなもので、着物を「着こなしている」のがまず前提条件、その上 で見た人にすごいなと思わせるのが「粋」なんじゃないかなと。

言うなれば「粋」に「着こなし」は含まれるわけ。

なので「すごく着こなしてますね」とか「とても粋ですね」とか、普通に言えば何も問題はない。実際、普通に言う人のほうが多くて「粋な着こなし」な どと言うのは着物屋や自称着物好きだけのような気がする。

早い話がリップサービス、あおり、おだて(笑)こんなもん気にして「イキってる」ぐらいなら、ちょっとずつでも着て経験を増やしたほうが確実に「着こなせる」と思うよ?

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