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和服を着慣れたらイヤでも着こなせるんだよ!

和服姿が珍しいからか、特に着物を着ているとかなりの確率で言われる言葉のひとつに「着こなしてますね」というのがある。

なんとかの一つ覚えのように、とても便利な褒め言葉のようだが、ここで断言しておこう。「着こなす」には、なにかを身につけたから着こなせるようになるのではないく、ひたすら和服を着続けるしかないのだ。RPGで言えば、地道な経験値稼ぎ以外にレベルアップさせる方法がないのと一緒。ロトのよろいや GARB OF LORDS もなければ、「きこなしのたね」なんてものもないのだ。

というわけで、他所様はどうだか知らないが、私なりの「着こなし」を解説しておこう。

「着こなす」と「着慣れる」はほぼ同じ

まずはgoo辞書で「こなす」という言葉を調べてみた。意味はいくつかあるが、「着こなす」に当てはまりそうなのは「(他の動詞の下に付いて)その動作を楽々としてしまう。巧みにする」といったところだろうか。

これを直訳すると「和服を着るという動作を楽々としてしまう」になる。動作を楽々としてしまうには動作に慣れている必要があるので、意訳すれば「和服を着ることに慣れていること」といったところだろう。よって、「着こなす」とは「着慣れる」とほぼ同じ意味合いなのだ。

ここで重要なのは、モノである「着物+こなす」ではなく、動作の「着る+こなす」であるということ。言ってみれば動作の習熟度を表すわけ。よく聞く「素敵な着こなしですね」とは、「素敵な着慣れ具合ですね(なんだそりゃ)」と言っているのと同じなんだよ。

着こなすには経験(時間)を積むしかない。

では和服の着こなしを上達させ、着慣れるにはどうすればいいか?実はたったひとつしか方法はなくて、ひたすら着て着て着まくって、着ている時間=経験時間を積み重ねていくしかない。一見難しそうだが、別に特別なことをする必要があるわけではなく、ごく普通に日常生活の中で和服を着て、行動すればいいだけだ。

洋服で例えるなら、なにかの家元の家系であるなど、よほど特殊な家に生まれないかぎり、ほとんどの人が幼少の頃から洋服ばかり着ているはず。10歳の子供だと、単純に考えて約10年間、ほぼ毎日のように洋服を着てきたわけ。

当たり前だが、あれこれ教えずとも自分で手早く着ることできるし、振る舞い方もごく普通。それもそのはず、10年×365日×16時間(睡眠8時間)=58400時間かけて「洋服に慣れた」からだ。

これと同じ事を和服でやってやればいいだけの話。

まあ、1年365日フルに着ることができないにしても、ちょっとでもいいから着る時間を増やしてやるだけで、かなり違ってくるだろう。1年に1日しか着ない人と2日着る人では単純に倍違うし、週1日のペースで7年間着てきた人と毎日着るようになって丸1年の人は、ほぼ同じということだ。

経験時間が一定に達するとゴール

とはいえ、経験時間を積み重ねるために「オレもフルタイム和服を着るぞ!」と意気込んでも、実際にはそう簡単にはいかない。例えば職業(仕事)など、和服を着て仕事ができる条件の人と、制服やスーツを着る普通のサラリーマンとでは、どう考えても普通のサラリーマンにハンデがあるからな。

ということは、転職でもしないかぎり2人の差は開き続けるだけ、イカン!オレも明日から歌舞伎の世界で武者修行だ!やるぞー!

……とまでは考える必要はない。ある一定ラインまで経験時間がたまると、風呂の水がいっぱいになるように、それ以上はほとんどたまらくなる、差がつかなくなると思うからだ。

もし経験時間が際限なくたまっていくのであれば、例えば着物を着るスピードが歳を取れば取るほど早くなって、80歳になったころには数秒で完了してしまうことになる(笑)機械ではなく人間が行う動作だし、そんなに複雑な技術を要求されるものでもないのだから、ある種の限界点が存在するわけ。

生活環境などによる個人差を心配せずとも少しずつでも着ていれば、時間はかかれどマラソンのように誰でもそのうちゴールにたどり着くことができる。そのゴールこそが「着こなせるようになること」なのだ。

経験時間の限界点は6000時間?

では、着こなせるようになるまでに実際にどれぐらいの時間がかかるのか?江戸時代の人間を参考に計算してみよう。

24時間のうち、睡眠8時間(平均睡眠時間と寝るときの恰好は置いとけ)を除けば、1日だいたい16時間は、和服を着て活動していたことになる。これを1年間繰り返せば、いくらなんでも大丈夫だろうと思うので、365日×16時間=5840時間、だいたい6000時間かな。

週末土日に8時間ずつ着たとして7、8年、 これに平日2時間を加えれば4、5年というところ。まあ実際はこんなにかからないだろう。

ただ、これはあくまで「着ること」だけなので、年間通じて着るつもりであれば、四季の移り変わりというか、季節に応じてどういったものをどう着ればいいか経験するために、経験時間の累積に関わらず「最低1年間」は必要だろう。

また、同じ経験時間でも、状況によっては中身が変わってくることもあると思う。ただたんに家でDVDを観ているよりは、外出したり飲み屋でドンチャン騒ぎ(解説)のほうが、はるかに濃厚な経験(ちょっとイヤラシイ)を積むことができるだろう。

ちなみに、「私はキモノ歴○年になります!」などと自慢するものでもない(解説)なぜなら「洋服歴○年です!」と公言する人はまずいないだろ?それに着こなせてるかどうかは、最終的には自分ではなく他人が判断することだからな。

具体的な目安「ひと通り自分でこなせること」

経験時間の積み重ねは、いちいちタイムカード押すわけではないし、「現在XX時間です!」などと細かくわかる人もいないだろう。そこで、「ある程度の速さで自分で着られるようになり、立ち居振る舞いにも特に支障なく、自然にできるようになること」を目安にしてみてほしい。仮に洋服がすべてなくなったとしても、和服だけで普通に生活できるような感じだ。

特に着物は、着るのはもちろん自分で迅速にできること。着付けの本を見ながら、誰かに助けてもらいながら、などは論外で、帯を結ぶだけなら余裕をみて1分、全部着る時間を含めても、せめて3分ぐらいで着られないと話にならない。自分で着られないとトイレにも風呂にも行けないし、彼女や奥さんと悪代官&町娘プレイも夢のまた夢(おい)だ。

立ち居振る舞いに関しては、私もうまく表現できないが、袂(たもと)を引くなど特有の動きもあるので、洋服の時とは微妙に身のこなしが変わってくる。経験時間を積み重ねていれば、体が勝手に憶えるので心配しなくていい。逆に言えば、体が憶えていない(あまり着ていない)人は、どことなく動きがぎこちないのですぐにわかるのだ。

少しずつでもいいから継続的に和服を着るようにしていれば、誰でもそのうち「必ず」着こなせるようになる。がんばれ!

ちなみに、着こなせるようになっただけでも充分だと思うが、「その先」もあるにはある。それが「粋」というやつ(解説)だ。

Last 2010/12/08. Copyright (C) since 2007 バカガエル.