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着物着用時の姿勢や歩き方

着物を着たときの姿勢や歩き方について解説しておこう。男性の場合は「ヤ○ザ風に歩くといい」と言われることがあるが、そんな真似をせずとも「普通に歩くことができれば」大丈夫だ。なお私は雪駄派なので、雪駄を履いた時の歩き方ぐらいしかうまく説明できないのは勘弁。

ビーチサンダルや屋内用スリッパが参考

普通に歩けばいい、といっても、通常の靴と雪駄では構造が異なっている。そのため、靴の時と同じ歩き方はできないようになっている。

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[1-1]靴は足を完全に包み込んでいるので、裸足で歩くのと同じように歩いても必ず靴は足にくっついてくるが、[1-2]雪駄は鼻緒で足にぶら下がっているようなものなので、足のかかとが持ち上がると履物と離れてしまう。

ビーチサンダルや学校などにある屋内用スリッパを履いたことのある人はわかるだろうが、普通に歩くとかかとがパクパクして脱げそうになるだろ?だからそうならないように、「前部分に力をかけながら履物を持ち上げないようにやや引きずり気味で(?)」歩くはずだ。

あれっ?ということは……そう、実はサンダルやスリッパの時と同じような歩き方をすればOKなのだ。ただ、足の甲を覆うスリッパと違って足の指を鼻緒に突っ込むだけなので、その点にだけは注意……と言うほどでもないだろう、心配せずともすぐ慣れる。

逆に靴と同じような歩き方をしようとすると、足(の指)に余分な力がかかって、変な歩き方になったり足がすごく痛くなることがあるので、こちらは注意してほしい。

猫背気味な姿勢は避ける。

続いては歩くときの姿勢についてだ。着物を着慣れてない人は、とにかくぱっと見がショボく見える。というのも、なぜか猫背気味で首がやや前へ突きだしている状態で歩くことが多いからだ。

時代劇での男性と女性の着物姿を見ればわかるが、男性は長着(着モノの正式名称)と襦袢の後ろ襟が、ほぼ首にピッタリくっついてるのがベスト。ちなみに女性は、襟がぐっと後ろへ下がっている(「衣紋を抜く」という))。

猫背気味になると、女性ほどではないにしても、どうしても首と後ろ襟の隙間が開いてしまうのだ。もっとも、椅子に座って前屈みになったら若干開くのは仕方ないけどね。

猫背になってしまう理由の一つは身体的な特徴。背の高い人や細身の人は、洋服を着ていても猫背気味になりがちだからな。これを治すには、本人が意識して背筋を伸ばすようにするしかない。逆に言えば、着物を着るときに意識するようになると、猫背が治るかもしれない。

その反面、太った人は猫背になりにくい。なぜかって?腹が重いのでそれを支えるために後ろに反るから。ああどうせ私は腹が出ているさ!余計なお世話だ!(笑)

もうひとつ別の理由があるのだが、それについては後ほど。

袖口に手を入れて腕を組まない。

もうひとつ不思議な現象で、かっこよく見えるからかどうかは知らないが、着物を着たらなぜか袖口に手を入れ(腕を組み)たがる人がいる。

[1-3]この体勢を取るときに両腕をあまり見せないようにするには、長着の構造上少し肩をすくめることになり、結果、猫背気味にもなってしまうのだ。洋服を着ている時に、腕を組んだ状態で歩く人はそうそういないと思う。結局、普通にしているのが一番自然なわけ。

ちなみに寒い時など、腕を隠したいときはどうするかというと、

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[1-4]袂(たもと)に入れている物を取る時のように、手を袖の中へ引っ込めてやればいい。こうすると、腕で袖を少し広げるような恰好になるので、腕を組むよりはカッコよく見えると私は思う。[1-5]他にも時代劇などでは、掌をお腹のほうへ入れて、袖と身頃の縫い目に腕を軽く置いていたりもする。

こういった細かい仕草は時代劇を参考にするのが一番。ある程度時代考証もされているだろうし、着物を着慣れている役者さんも多いから、しぜんと着物特有の所作をしてくれる。

カッコよく歩けるかどうかは自分の気持ち次第

以上、いくつかポイント解説したが、実は一番肝心なのは「自分の気の持ちよう」で、それが歩き方や姿勢にも大きく影響を与えると言っていい。

「他人の視線」は存在しない。

特に着物を着始めた人が一番陥りやすい心理に「人と違った恰好をしているから目立つので、他人の視線が気になる」というのがある。実際は周囲からの視線など存在せず、完全な被害妄想(解説)でしかないのだが、なかなか気持ちの切り替えはできづらい。

それが立ち居振る舞いにも表れるから、人目を避けてコソコソ動き回るというか、姿勢や歩き方がショボショボになってしまうわけ。

逆に気持ちの切り替えができると、考えずとも普通の姿勢と歩き方になる。例えば「小さな子供」に着物を着せてみても、普段とまったく変わらないはず。子供は周囲からの視線が「わからない」し、着物を着ている=周囲と違う恰好をしている認識が「ない」からだ。

着物を着ているだけで悪いことはしていないのだから、チ○コのついている男の子、胸を張って堂々と普通に歩けば問題ない。まあ最終的には慣れ(解説)だろうな。

チンタラチンタラゆっくり歩く。

では最後に、冒頭に書いた「ヤ○ザ風に歩けばいい」に対抗?して、ウチのサイトでは「海水浴の帰りのように歩けばいい」と提案しておこう。

イメージは、「夏の暑い日射しの中、気心の知れた友達連中と海水浴」だ。

……履き物はもちろんビーチサンダル(鼻緒つき)で、ジャブジャブ泳いだあとはバーベキューとビールでヒャッハー!(バカ)やがて日も傾き、みんなで後片付けをして帰ることに。おもしろかったな、また今度やろうな、と言いつつ、アルコールもほどよく回って、宴の後の虚しさというか泳ぎ疲れたというか、帰るのめんどくせえなあ、歩くのだるいなあ……

この時の状態はというと、全身の力(力み)がほどよく抜けて、気分的にかなりリラックスしているはず。周りの人?友達らの顔すら判別できないよ(飲み過ぎ)。そしてどんな歩き方をしているかというと「気だるそうにチンタラチンタラ、ややゆっくり歩く」といった感じではないだろうか。

私が思うに、着物着用時の歩き方としては一番だと思う。心にいつも太陽を、だ(笑)

Last 2012/04/11. Copyright (C) since 2007 バカガエル.