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お通夜や結婚式の着物について

冠婚葬祭のうち、お通夜と結婚式に着ていく着物について、オレなりに考え選んだ着方を解説しておくんだけど……正直「こんな考え方もある」程度で、実践するかどうかは自己責任でどうぞ。

アドバイスが同じようでバラバラ

以前、知人のお通夜に参列することがあったので、別の人に詳しく聞いて羽織袴で行くことにした。悪い言い方をすれば、知人(=故人)をダシに「実験」したことになるけど、一緒に飲んだ仲だから勘弁してくれると思う(おい)。

下の画像がそのときの恰好。お通夜なので(後述)手持ちではこれぐらいしか揃えられなかったけど、半衿と羽織紐と足袋は「黒」にした。とりあえずトラブルはなし。

後日、冠婚葬祭の恰好について、さらに別の人に聞いたり図書館で何冊か本を調べたりしたんだけど、同じような事を言っているようで微妙にバラバラだった。誰かのアドバイスに従うと別の誰かからクレームが出る状態といったところ。

それと、こういった冠婚葬祭の時には「五つ紋付き羽織袴であること」とされるけど、じゃあ持ってない人はどうなるの?という疑問が出てくる。

今はまだスーツなどがあるけど、着物(和服)が主だった昔はどうしてたのかと。貸衣装や誰かに借りるとしても、そんなに何人分も五つ紋の羽織袴が同時に準備できるとは考えにくい。準備できなかった人は参列しないの?そんなバカなことあるわけがないわな。

ということで、オレなりにお通夜(お葬式)と結婚式について考えてみたのがこの解説になります

「独断」弔事用の着物

服の和洋問わず弔事の最大のポイントは「喪に服す」「故人に礼を尽くす」で、これを手持ちの衣服で表せばいいはず。そこで、洋服の喪服を参考、見聞きしたことの中から、一般人でもがんばればなんとかできるだろう範囲でまとめてみた。

画像で着てるのは、さっきの画像の色をいじっただけで実際には持ってません。

>着物(生地)の色柄は、柄は無地、色は黒(っぽい色)、グレー、濃紺。白系や光沢のあるものは避ける。

>羽織を着用。可能なら一つ紋、最悪無紋でもかまわない。

>袴(野袴などは除く)を着用。仙台平などである必要はなし。

早い話が地味で黒っぽいものにまとめるわけ。袴を着用することによって、普通の羽織+長着(着モノの正式名称)の恰好をスーツクラスに格上げするというか。一つ紋があればなおいいだろう。

この解説を書き上げて何年かのち、残念ながらお通夜に行く機会があった。

会場ではなく自宅通夜だったので、紺のアンサンブル(無紋)に小物類は黒統一、袴は仰々しいと思って穿いていかなかった。こんな間に合せのような恰好で行った理由は下に書いてあるとおり。ほんとに急でした、はい。

おまけ:お通夜とお葬式の服装の違い

お通夜は、その人が亡くなる=急に起きること。一方お葬式は、告別式とかってお通夜のあとに執り行う「式典」だし、若干の「準備」時間がある。

これがどういうことかというと、お通夜に喪服をきっちり着ていくと、喪服の準備をしていた→亡くなることが事前にわかっていた、となり、喪家に対し て失礼となるわけ。言い換えれば、訃報を聞いて飛んできた→喪服の準備もできていない→間に合せの服装でも仕方ない、という考え方なんだとか。

逆にお葬式(告別式)は、通夜のあとに告知される「式」であり若干の準備時間もあるので、喪服をきっちり着ていくのがいいんだとか。ただし、故人や喪家との繋がりなども関係するので、五つ紋のような仰々しい喪服も考えものだと思う。

「独断」慶事用の着物

続いては結婚式など慶事用のパターン。ポイントは「花婿花嫁(+親族)のお祝いをする」なので「主賓より目立たないように」晴れやかな恰好をしていけばいいかなと。

画像で着てるのは、さっきの画像の半衿、羽織紐、足袋の色をいじったもの。

これも結婚式で見かける洋服の礼服を基準にしてるけど、色以外の考え方は弔事の時と変わらず無地、羽織着用で可能なら一つ紋、袴着用、といったところ。弔事ほど気を使わなくていいと思う。

かといって、成人式のレンタル衣装のようにド派手すぎるのもやり過ぎ。あくまで主役は花婿花嫁なので、見た目で「主役をかっさらう」ことのないように。

こちらもまた、この解説を書き上げて何年かのちに、結婚式の二次会?に顔を出すことがあった。

紺のアンサンブル(お通夜で着たやつ)に袴、半衿と足袋は白、羽織紐はフサフサつきの水色だったかな。オレが着物を着るのを知ってる人が多かったけど、それでも「すげー!いつもと違う!」と評判はよかった。

どうしてもないなら黒無地の羽織

結婚式はある程度選択の幅があるけど、問題はお通夜やお葬式の弔事。一式揃えるとなるとそれなりにお金もかかるし……だったら、とりあえず「色は黒で柄のない無地の羽織」だけは持っておいてはどうだろうか。

画像の長着はわざと色を派手めに変えてます。

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確証はないけど、おそらく一般人が遭遇する範囲の慶事や弔事には対応可能(緊急用)のはず。できるなら一つ紋ぐらいはあったほうがいいので紋を入れておきたいところだけど、最近は「紋付き用シール家紋」なんてのも売っているようなのでそれを利用するのも手。

もちろん、この羽織を着たらそれ以外はなんでもOKというわけではないので、色柄に注意して持っているものでできるかぎり「礼を尽くす」のは忘れないように。

紋の数について

紋の数は無紋(なし)、一つ紋、三つ紋、五つ紋(まだ上がある?)とあり、数が増えれば着ている着物の「レベル」が上がると考えればいい。

五つ紋は最上級(のはず)で、いうなれば主役が着るもの。結婚式なら新郎新婦あるいはその両親、お葬式なら故人や喪主が着るものにあたる。よって、それ以外の立場の人が着用すると「主役と同格の恰好」となり逆に無礼となるわけ。

それに例えるなら、三つ紋は準主役、一つ紋は脇役、無紋は「その他大勢」かな(笑)

式典に参列する場合、圧倒的に「その他大勢」が多いだろうけど、一応は式典なので、礼服の意味を込めて一つ紋あればいいかなと。

おまけ:礼服の色について

今では一般的に「白=良いこと、黒=悪いこと」のような扱いだけど、この考えは外国文化(キリスト教?)の影響で、日本では白黒赤の三色は最上級の色とされ、弔事の場合、赤を避けるのはともかく、もともとは灰色(グレー)が多く使われたらしい。

TPOやローカルルールをふまえて

ひとことに弔事(慶事)といっても、国会議員と普通のサラリーマンを一緒にできないように、その人の生活環境や人間関係によって、その規模や状況=TPO(解説)は変わってくる。

極端な話、一般人の普通の結婚式と、会社の社長や業界の偉い人の息子や娘さんの結婚式とじゃ、参列者の数や顔ぶれ、規模や雰囲気も違ってくるだろうよ。

ウチのサイトを見てくれている人にそんなゴージャスな人はいないと思うけど、もしいたらそれなりに対応しておくれ。

また、地域によってはローカルルールが存在するところもある。参列者は白い服を着るとか、専用の衣装を着るとか。そのような場合はルールに従うべき(解説)だろう。

最後に。弔事慶事を含む冠婚葬祭の服装は、お洒落云々ではなく儀礼的な意味合いが大きい。和服(着物)は確かに着るものではあるけど、着るものだからこそ、手持ちのもので揃えられないようなら無理をせず、洋服の礼服やスーツなどを着ていくようにしておくれ。

生地の種類は関係ないのでは……

着物のこういった話には生地の種類が云々とよく出てくるけど、色柄さえ注意しておけば生地の素材や製法などは関係ないとオレは思う。

儀礼的なことなので、ある程度の「型」があるのはわかる。でも洋服の礼服の生地ってウールや化繊が一般的なんだし、なぜ着物はそこまで気にする必要 があるのかと。それに最初のほうで書いたように、いくら礼服=何世代か着られるとはいえ、昔の人がそんな高級生地の着物を誰もが持ってたとは考えにくい。

オレも何百年も生きてる不老不死じゃないから、はるか昔が実際どうだったかはわからん。でも推測するに、生地云々まで言及するのは「行き過ぎ」だと思うけどね。

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