袴用の角帯の結び方:一文字結び
主に袴を併用するときにやる角帯の結び方「一文字結び」を解説しておこう。こ の結び方は少々特殊でちょっと難しいのと、V字に折る距離が長い(傷みやすい)ので、なるべく同じ角帯を使ってやったほうがいいと思う。
ちなみにオレは現在はこの結び方をしていない。詳しくは袴の装着方法(解説)に目を通して おくれ。
体に巻く〜一回締めるまで
この結び方はオレも後ろ手で結ぶことができないので前で結んでいる。まずは体にぐるぐる巻きつけるまで。
最初に「手」の長さ(位置)を決める。
この結び方に必要な「手」の長さの目安は、オレの場合はだいたい腕を90度+@に曲げたぐらい。腕の長さや個人の好みもあるだろうから、具合のいい 長さを探しておくれ。
「手」の長さを決めたら、普通と同じようにぐるぐる巻いていく。
この結び方は「垂れ」の余り部分を最後に始末する=角帯の長さを最後に調節するので、途中で貝の口結びのように折り返しはしない。
巻いて終わったら「手」と同じように「垂れ」側も半分にV字に折る。
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別に半分に折らなくてもいいんだけど、ここで一度しっかり結んで締めるので、結果として半分に折った状態になる。
続いて、半分に折った「垂れ」の上に「手」を重ねる。
この結び方は「手」の上に「垂れ」を重ねる貝の口結びとは逆、神田(駒)結び(ウチでは未解説)と同じ重ね方。
「垂れ」を「手」で巻くような感じで「手」を「垂れ」の下から通して上へ抜く。
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オレは都合がいいので「手」を折り返すけど、別にそのままでもいいと思う。
通したら「手」をななめ上「垂れ」をななめ下にして、荷物の紐を締める時のように一度ぐっと締める。
締めたら「垂れ」を反対へ折り返して「手」で1回巻く方法もあるけど、オレは特に支障がないので折り返さずこのまま次の手順へ進んで いる。
「垂れ」を折り返す方法は、袴紐の結び方にある「一文字結び」(解説)のイラストを参考にしておくれ。もう撮影するのめんどくさい(おい)。
「垂れ」の余り部分の後始末
ここからがこの結び方の特殊なところ。まずは「垂れ」の余ったやつの後始末をする。
半分に折っていた「垂れ」の余りを広げてひとまず元に戻し、角帯の内側(裏側)に向けて折り返す。
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折り返す長さは袴の腰板の底辺の長さよりちょっと短めぐらいかな。
さらにもう一度折り返す。この折り返し部分には役目があるので、せめて2回は折り返したい。
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まだ折り返せるようなら結び目の根本付近にくるまで折り返す。オレがこの角帯を使うときは、3回均等に折り返せば結び目の根本近くまでくる。結び目 の根本まで完全に折り返さなくても、2センチほど余裕があっても大丈夫。
均等に折り返すと余裕がかなりできる、あるいは短く折り返さないと根本までこない場合は、すべてを均等に折り返す必要はないので、最後の1回だけ折 り返す長さを変えてやればいいかと。
折り返しが完了したら「垂れ」を再びV字に折って、
折り返しが重なっている部分と重なっていない部分の境目から、結び目方向に折り返す。これで「垂れ」の後始末は完了。
この折り返した部分の形状から「一文字結び」と呼ばれる(んだと思う)。
「一文字(垂れ)」と「手」を結ぶ。
さていよいよ大詰め、先ほど作った「一文字(垂れ)」を「手」で巻いて結んでやる。
「一文字」の中心をだいたい結び目の中心(「手」を真上にした位置)に合わせたら「手」を 「一文字」の上に重ねる。
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「手」を結び目の裏側に下から上へ通し、先ほど1回締めた結び目もろとも「手」で巻いて上へ引き抜く。
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1回だけでもいいけど「手」の余っている長さや好みでもう1回巻いてもいい。
巻くのはだいたい2回まで。これ以上巻いても膨れるだけで、結ぶ力はあまり変わらない気がする。
おそらく「手」がまだ残るはずなので、お腹あたりの長着と角帯の間に上から下へ通す。
あとは帯を持って「おりゃー!」と結び目を後ろにもっていけば、
ハイ、かんせー。体に巻いている部分の上に「一文字」がちょこんと乗っかっているようになっていれば OK。
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この結び方の結び目は袴の腰板の台座なので、左右に少しずらすのではなく真ん中にもってくる。一文字に巻いた「手」の位置を基準にしてやれば合わせ られるかと。
「しっぽ」の用途
オレが最後の「手」の余りを「しっぽ」のように飛び出させているのは、袴の下に隠れて見えないから放置しているのもあるけど、一文字の形を直しやすく するためにわざと飛び出させている。
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最初は左側のような状態なんだけど、動き回っていると右側のように一文字の部分が下にずり落ちてくることがあり、放置していると袴の後ろ側までずり落ちかねない。
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ずり落ちてきたような感覚があれば、袴の横の隙間から手を中に入れて一文字部分を上へ持ち上げ「しっぽ」を下に引っ張ってやる。こうすれば元に戻るってわけ。
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