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男物袴の装着方法

男性の袴の装着方法を解説をしておこう。ただしこの方法は、基本手順は一般的な袴の装着方法と一緒だけど、細かいところを自分用に微妙に「アレン ジ」してあるのでその点は注意してほしい。

ちなみに、一般的に解説されている袴の装着方法は「花婿型」というらしいです(持ってる本に書いてあった)。オレの方法と違う箇所は補足説明を入れ るけど、そちらの解説がいい人は書籍やネットなどで探してみておくれ。

以下、違う箇所の説明で花婿型と区別するために、オレのアレンジ部分は便宜上「カエル型」と表記します。

袴を装着する前の準備

装着前の下準備として、長着や長襦袢をそのまま使う場合は尻っぱしょりをする(左)。オレは今は袴用に着丈が短い長着?半着?を使うことが多い (右)。

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尻っぱしょりをするのは、そのままだと長着や長襦袢が袴の中でかさばるから。着丈が短いものにすると、尻っぱしょりせずともそのままで大丈夫という わけ。ちなみに右側の袴用の長着と襦袢は着丈が120センチぐらい(もう少し短くてもいいかも)。

あと、現在よく使ってる袴は「腰板部分がない」ので、角帯の締め方も普通の締め方(結ばない締め方)でいけるんだけど、腰板つきの袴を装着する場合 は一文字結び……ではなく、締め方はそのままで背中に「台座」を差し込むようにしている。

専用の木製台座もあるらしいんだけど、オレのは即興で作ったダンボール台座(解説)。 個人的には一文字結びの結び目を台座にするよりダンボール台座のほうが安定感があるような。ダンボールがあればいくらでもすぐ作れるし(笑)もちろんこん なモン使いたくない人は従来の一文字結びでどうぞ。

それと、袴の装着に慣れてない人は、袴の紐をごぞごぞやるときに袂(たもと)が意外と邪魔くさいから、画像でやってるようにたすき掛けをしといたほ うがやりやすいかも。

袴を穿いて前部を装着

まずは袴を穿いて前部を装着する。ここをしっかりできれば袴は装着できたも同然だ。

袴を穿く=足を通すとき、前後を間違えないのはもちろんのこと、馬乗り型など股下で左右に分かれているものは確認してきちんと左足右足を通すよう に。昔、慌てて着替えた時に片一方に両足突っ込んで、歩きにくいなと思いつつ歩いてたことがある(バカ)。

袴に足を通したら、袴の前紐部(正式名称不明、紐と一体になっている部分)を角帯に沿わせる。

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カエル型は角帯の上端に乗せるような感じ(左)、花婿型は角帯の上端を1〜2セン チほど?出して角帯にあてがう感じ(右)。角帯の色柄の見え具合で違いがわかるかな?ちなみに、カエル型は前紐部を落ちにくくするためにこうするんだけ ど、花婿型はなぜ角帯の上端を少し出すのか正確な理由は知らん。

それと、袴の装着に慣れてない人は、大きい洗濯バサミやクリップで前紐部と角帯を挟んでやると、このあとの前紐を前後させる手順がやりやすいかも。

前紐部を沿わせたら、前紐をしっかり引っ張りながら前から後ろへ回す。

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カエル型は角帯の位置(角度)に沿ったまま(左)、花婿型は少し後ろへ上がるような感じ(右)になる。これも角帯の色柄の見え具合で違いがわかるか と。

後ろへ回したら、背中にあるダンボール台座or角帯の結び目の上というか裏?で交差させる。ここはカエル型も花婿型も一緒。

前紐が緩まないように左右にしっかり引っ張っておくこと。ゆるみにくいように背中で1回だけ結んでもOK。

前紐を引っ張りながら再び後ろから前へ回す。画像は撮影用にまとめて片手で持ってるだけ、ちゃんと両手でやるように(笑)

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カエル型は先ほどの前紐に沿わすようにというか角帯の前部分の「真ん中ちょい上」あたり(左)、花婿型は角帯の前部分の「下端」あたり(右)を 目指す感じ。

そして、真正面で紐を交差させる。

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左右どちらの紐を上(下)にするか、和服の着方=右前に合わせたら左手側(画像で右手で持って るほう)が上なんだけど、装着手順上はどちらが上になっても変わらない。

ここで、カエル型は前紐を交差させた部分に少し手を加える。前紐の交差点の下半分を上へ折り返してやる。前紐を交差させた状態を「X」とするなら、 下半分を線対称で上へ折り返して「V」にするような感じ だ。

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このあと前紐を再び後ろへ回すんだけど、交差させたままの状態だと前紐の向きが下向きになっているので、中心部から 上へ折り返し て前紐の向きを変えてやったほうがしっかり締めやすいんじゃないかなと。

ちなみに花婿型も、交差させた前紐の下になってるほう「だけ」を上へ折り返す方法もあるらしい。カエル型と同じ意味合いなのかどうかはわからん。

そして再び紐を後ろへ回す。真正面で交差させた位置からまっすぐ後ろへ。

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それぞれ交差させた位置が違うので、カエル型は角帯の真ん中あたり(左)、花婿型は角帯の下端(右)を沿わすようになる。

後ろに持ってきたら今一度しっかり締めてチョウチョ結びなりをする。後ろ手で結ぶのは(慣れてても)大変だけど頑張れ。

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カエル型は角帯の真ん中あたり(左)、花婿型は角帯の下端というか下(右)に結び目ができる。結び目の余った紐は、袴の下に隠れるから放置でもいい と思うけど、気になるよ うなら巻き込むなり適当に処理しておくれ。

以上で袴の前部の装着は完了だけど、おまけ?として、袴の紐ごと角帯をひととおり軽く手でパンパン叩いてやると、紐の張力?が均一になる「ような気 がする」のでオレはやってます、はい。

袴の後部を装着〜完成

では後部の装着。ここから先はカエル型も花婿型も手順は一緒で簡単。

袴の後部に「へら」がついてるので、それを長着と角帯or台座の間に差し込んで、角帯の結び目or台座の上に腰板を載っけてやる。

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「へら」は袴後部の真ん中にあるので、指で背骨の位置を探ってそこにまっすぐ差し込んでやれば、後ろは見えなくとも袴後部の中心と背中(体)の中心 を揃えやすい。

もし持ってる袴に「へら」がついてないなら、着物屋や仕立て屋に頼んで取り付けてもらうか、素人裁縫でいいので指で中心がわかる目印のようなものを つけたほうがいいかと。

腰板を載せたら、後ろの紐を適度に引っ張りながら前の紐の交差点=真正面へ持ってきてやる。

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あとは後ろ紐を前紐と一緒に結んでやればOK。結び方の解説はこ ちら

紐を結んで終わったら、気になる人は微調整をどうぞ。

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袴のしわを伸ばしたり正面の結び目の上下位置の調整、側面の袴紐がねじれてるようなら後ろ側へもっていくとか。気にならなけれ ば放置でも問題なし。

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これでかんせー。画像の袴紐の結び方は「一文字結び」にしている。

カエル型と花婿型の見た目の違い

カエル型(左)と花婿型(右)の見た目を比較してみよう。後ろからの見た目は一緒なので省略。

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ざっくり違う点を言うと、角帯の見え具合というか袴紐同士の隙間の具合のようなものかな。花婿型というぐらいだから「角帯の色柄を見せる」がポイン トなのかもしらん。カエル型はそんなのガン無視だけど(笑)

じゃあカエル型のポイントはというと、前紐部は角帯の上端に載っけてるし、袴の前紐をなるべく隙間ができないように最短距離で巻いているので、角帯 に対する帯締めのような効果も あって、花婿型に比べて少々動き回っても型崩れ(着崩れ)しにくい(と思ってる)。

もうひとつ付け加えるなら、オレはお腹の出具合もあって角帯の正面部分を下げ気味で締めているので、カエル型のほうがバランスがいいというか袴の座 りがいいと思える。言い換えれば、お腹が出てないとか角帯を少し高い位置で締めてる人は、花婿型のほうがバランスがいいのかもしれない。

以上、どちらが正解間違いというものではなく、角帯の結び方にもバリエーションがあるように、袴の装着方法(袴紐の巻き方)のバリエーションと捉え てほし い。どちらでもお好きなほうをどうぞ。

「腰板あり」と「腰板なし」の違い

袴装着の解説は「腰板あり」の袴でやってるけど、これが「腰板なし」の袴でも基本は一緒。ただ、少なくともオレが使ってる腰板なしの袴は、角帯の結 び目or台座で後部を持ち上げる必要がな い。

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カエル型で装着しているのもあるけど、後部を持ち上げるための「台」がない分、普通の袴よりズボンに近い感覚で使えるし、背もたれのある椅子にも深 々と座ることができる。

では、なぜ腰板ありの袴は後ろを持ち上げて、腰板なしの袴は持ち上げなくていいのかというと、袴の構造がそうなってるから。

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腰板ありの袴は前部と後部の着丈に差がある(前紐部の上から腰板の底辺まで約7センチ、袴によって微妙に違うと思う)けど、腰板なしの袴は前部と後部の着丈にほぼ差がない(前紐部の上から後ろ紐の下までだとゼロ。正確には後ろ紐の幅が広いのでマイナス)ような構造になっている。

正確に言えば前後の着丈の差があるかないかなので、腰板のあるなしは関係ないけどね。

よっ て、腰板ありの袴はこの差分だけ後ろ側を持ち上げてやらないと、帯をやや後ろ上がりに締めて いるとしても後ろ側の裾が垂れ下がってしまうし、腰板なしの袴は持ち上げずにそのまま装着しても、後ろ側の裾が垂れ下がることはない、というわけ。

ちなみに腰板なし(前後着丈の差がない)の袴は、寺社関係の商品を扱っているところで買った。 もし普段使いに袴を組み込むのであれば、こういった袴もあるってことで。

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