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角帯の結び方その2「片ばさみ」

私は滅多にやらないんだけど、最近は一部にやっている人がいるらしいので、時代劇に登場する着流しのお侍さんで見かける「片ばさみ」という方法も解説しておこう。実はこの結び方、基本的に貝の口と途中まで同じ手順で、2回目を結ばず「垂れ」を帯に挟み込むだけ(解説)だったりする。

この結び方の利点としては、貝の口結びのような結び目が存在しないので、背もたれがある椅子などに座っても、腰に結び目による違和感が少ない。そのかわり欠点として、結び方の関係上かなりキツめにしっかり締めていないと、すぐに帯がゆるんでしまう可能性があるので、片ばさみをする場合は準備段階も含めて、お腹を少々引っ込めた状態でやるほうがいいだろう。

なお、ここでは結び方のみを解説しているので、それまでの角帯を巻く(締める)まではこちらを参照のこと。

じゃあやってみよう。

「手」と「垂れ」の長さバランスは、貝の口より「手」が少し短めになる。まあ実際にやってみて、自分なりの長さを見つけてくれ。

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[1-1]この結び方も「手」の上に「垂れ」を交差させる。

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[1-2]「手」の下に「垂れ」を通す。ここまでは貝の口結びと同じだ。一度ギュッと締めるのを忘れないように。

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[1-3]ここから「垂れ」の処理が違う。「垂れ」を折り返して、

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[1-4]腰に巻いた部分に折り返した「垂れ」を突っ込む。

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[1-5]突っ込むのは、「手(1周目。一番下の巻き)」と2周目の間。「垂れ」の上に2巻き分の帯がくるわけ。

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[1-6]引っ張って形を整えれば、ハイ、かんせー。

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[1-7]実際に結ぶとこんな感じだ。

「垂れ」の長さ調整を最後に行う方法

貝の口結びでは事前に「垂れ」の長さ調整をしていないと結べないけど、片ばさみは結んだあとで調整できなくもない。

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[2-1]片ばさみの完成形は、「手」と「垂れ」の余り長さをだいたい同じにするので、結んでみて「垂れ」が長い場合は、ここで折り返して長さ調整をする。

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[2-2]「垂れ」を内側へ折り返して、

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[2-3]角帯の中に突っ込んでやれば完成。参考画像はわかりやすいようにわざとずらしてあるけど、実際はちゃんと重ねるように。

なお、最後に折り返してもまだ余るようであれば、「垂れ」を角帯へ突っ込む段階([1-3][1-4]の段階)で折り返してもいいし、それでもまだ余るようであれば、貝の口結びと同じように事前に調整するしかないだろう。

なぜ片ばさみはお腹を引っ込めて締めるのか?

冒頭で「片ばさみの時はお腹を引っ込めるように」と書いたけど、その理由は片ばさみの結び方にある。この結び方は、完全に結んでしまう(いわゆる「結び目を殺す」というやつ)貝の口結びと違って、腰に巻いた角帯が締まる力によって「垂れ」を固定し抜けなくする結び方なんだよ。

よって、腰に巻く段階でしっかり締めていないと「垂れ」が抜けやすくなり、結果、全体がゆるみやすくなってしまう。かといって、あまりギュウギュウに締めてしまうと、今度は「垂れ」を突っ込めなくなってしまうし……その解決策が「お腹を引っ込める」なのだ。

お腹を引っ込めて「腹回りのサイズを小さくした状態で」帯を巻いて片ばさみをし、その後お腹を元に戻せば「腹回りのサイズが大きくなる」ので、帯の締まる力が強くなる、というわけ。そこそこしっかり締めていれば充分なので「垂れ」も突っ込みやすいしな。ただ、空腹でお腹が勝手にしぼんでしまった場合は、もう一度結び直すしかないかも。

まあアレだ、風船がしぼんだ状態でゆるめに糸を巻いていても、風船を膨らませれば糸はピシピシに締まるというか、ケンシロウが筋肉モコモコになれば上着が破けるというか、通常時のナニにアレを被せてもスポスポだけど「おっき」すればいい具合になるというか……そんなとこだ(おい)。

ちなみに、時代劇で着流しのお侍さん「だけ」が片ばさみをやっているのも、カッコイイからだけではなくこれも理由のひとつ。刀を腰に差す(一般人は当時の法律で刀を差せない)→刀分腹回りが大きくなる→角帯が締まる→「垂れ」をはさむ力が強くなる→抜けにくくなる、というわけ。

Last 2010/03/21. Copyright (C) since 2007 バカガエル.