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角帯を「締める」共通手順

角帯を「結ぶ」方法はいくつかあるけど、角帯をぐるぐる巻いて「締める」手順は結び方関係なくほぼ共通なので、ひとまとめに解説しておこう。角帯は 「結ぶもの」ではなく「締めるもの」ってのを忘れないように。

角帯を締める方向は左回りでも右回りでも、利き腕や慣れの関係もあるので自分のやりやすい方向でどうぞ(後述)。それと、オレは後ろ手(背中側)で 角帯を結ぶのでそれ用の解説になってる。 慣れない人など前(お腹側)で結ぶ人は、最終形を元に調整しておくれ。

表裏と上下、「手」と「垂れ」

角帯を締める前にどちら側を表(裏)上(下)にするか、そして結ぶ上で重要な「手」と「垂れ」(帯の左右みたいなもん)を決める。

※ここから先は左巻き右巻き両方の解説&画像を掲載しています。右巻きは画像を反転させているだけなので、長着の着方も逆=左前になっている点、ご 了承ください。

どちらを表(上)にするかはこちらを参照して各自が判断しておくれ。以後は白い線が多いほうを表 側、白い太い線があるほうを上側として解説する。

表側上側を決めたら、左巻きの場合は「向かって左端」の下側を、右巻きの場合は「向かって右端」の下側を、約30〜40センチほど帯幅を半分にする ような感じで裏に折り返す。

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それぞれ左端右端を間違えると角帯の柄の上下が逆になってしまうので注意。

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折り返した状態。ピンクの輪っかで囲まれた部分がややねじれたような形になるけど、これは仕方ない、というかこれでOK。

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折った端が「手」、反対側の折ってない端を「垂れ」と呼ぶ。なぜ片方だけ折り返すのかホントの理由はわからないけど、帯を結ぶ段階で結びやすいから かなと。

画像の帯は何度も使っているので折り目がついてるけど、新品だと簡単に折り目がつきにくい。どうしても折り目を付けたいのであれば寝押しなりアイ ロンなりどうぞ。もっとも、そこまで神経質にならなくても大丈夫。

角帯を巻いていく→長さ調節

帯を巻く(締める)方向を決めたら、長着(着モノの正式名称)の上からぐるぐる腰に巻いていく。長さというかバランス調整は後ほど。

「手」の部分をV字の谷側(折り山)を 下に持ってくるように腰に沿わせる。

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沿わせる位置は腰骨?のグリグリ少し上あたりが目安。ちなみに画像で帯の下端に見えている黄色っぽいのは伊達帯。

「手」を腰からどれぐらいの長さにするかは、腰から15センチぐらいとかいろいろ言われてるけど、後々のことを考えて少し短めがおすすめ。実際にど れぐらいの長さがいいかは、何度も締めていればそのうち感覚的にわかるはず。

「手」側は腰に固定したまま、必ず「手」側を上に出して巻いていく。

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1回巻いて「手」を押さえてしまえば、解説画像のように少々手を離しても大 丈夫。この1周目が肝心で、しっかり締めておかないとのちのち帯全体がゆるみやすい気がする。

余裕があれば、巻いていくときに帯をお腹へあてがうような感じで、手のひら全体を帯に沿ってすーっと動かしてやる。

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これといった理由はない。なんとなく締めた後の見映えがいい気がするから(おい)。

3(2)周巻くと、半端に余って4(3)周目が巻けなくなるので、適当なところで「垂れ」の端を内側へ折り返す。

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折り返た先に指を突っ込んで、二重になる部分の長さを調整する。

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どれぐらいの長さがいいかは帯の長 さや体型によって変わってくるけど、ここの手 順を繰り返せば何度でも長さは調整できるので心配しなくていい(後述)。

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「手」を引っ張り出して後ろへ持ってきてやると一般的な結び方の準備段階となる。ここから各結び方へと発展していくわけ。

一般的な結び方、貝の口結び→こちら、ちょっと特殊な結び方、片ばさみ→こちら

「手」と「垂れ」のバランス調整

このあと帯を結ぶわけだけど、結んでみて「手」「垂れ」のバランス(長さ)がイマイチであれば、結び目をほどいて帯全体を左右に動かしてやると相 対的?に長さを変えることができる。

帯を巻いた方向と反対方向へ動かすと、「手」が長くなって「垂れ」は短くなる。

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帯を巻いた方向と同じ方向へ動かすと、「手」が短くなって「垂れ」は長くなる。

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これでもう一度結んでみて「手」の長さはいいものの「垂れ」の長さがイマイチなようであれば「垂れ」の折り返している長さを再度調整してやる。

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折り返しを増やせば「垂れ」は短くなり、折り返しを減らせば「垂れ」は長くなる。

慣れないうちは何度となく微調整することになるだろうけど、何度も着物を着ていればそのうち自分の結び方に合った「手」「垂れ」のバランスがだいた いわかってくるだろう。

伊達帯や腰紐を使わない&左巻きの場合

解説では撮影の手間を考えて伊達帯を締めてから角帯を締めているけど、ある程度着慣れれば、伊達帯や腰紐を使わずに角帯だけを締めてもいい。

ただ、オレと同じ左巻きに締める場合は、長着の襟先とは反対側に「手」がくるので長着や襦袢がはだけてしまうことがあるので、ちょっとしたコツ?が ある。

まずは「手」の端っこを右手で持ち、同時に長着の襟先も押さえておく。

そのまま1周巻いたら左手で「手」の端っこと巻いてきた帯が重なった部分(円で囲んだ部分)を持つ。

右手を角帯と長着の間に入れて襟先を押さえ、帯を回して左手で持った「手」がある部分を腰の横にもってきてやるわけ。

解説画像と同じになってるのわかる?これで同じように巻いていくことができる。

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オレは動かしやすいので1周巻いた段階でやっているけど、もちろん2周巻いた段階でもいい。最初に書いたように自分の締めやすいようにどうぞ。

おまけ:帯は右巻き(時計回り)に締める?

「着物は右前に着るので、帯を締める方向も同じく右巻き(時計回り)」確かに考え方としては筋が通ってるけど、じゃあ左巻き(反時計回り)に締める のはダメなのかというと、実際は左右どちら向きに締めてもかまわない。

締め心地や着崩れのしやすさなど、どちら向きに締めてもさほど変わらない(実験済み)ので、利き腕や結びやすさなどで、自分に具合の良い方向に締め ていいかと。

ただし角帯の場合、柄に上下や左右の向きがあるものもある。帯を締める方向と「手」の方向はリンクしているので、柄の向きが逆になったりしないよう に注意してほしい。

ちなみに、帯を締める方向によって関西結び関東結びと分ける人もいるらしいけど、知り合いがプロの衣装係さんに聞いたところ「なんでも区別したがる 人がいますからねえ。勝手に 言ってるだけでは?」との返事だったそうだ。

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