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男物の羽織→ジャケットや上着

腰下ぐらいまでの長さで、長着(着モノの正式名称)の上から着るのがこの羽織。洋服で言うところのジャケットや上着のようなものだ。

羽織に使用する羽織紐に関してはこちらで解説しています。

羽織の袷、単衣、薄物

長着と同じく、袷、単衣、薄物の3種類で、特殊な形として袖のない「袖なし羽織」というものもある(後述)。仕立て方に関してはこちらも参考にどうぞ。

羽織袷仕立て

背中の部分に表の生地とは別布の裏地があり、袖も生地が二重になっている。

背中の裏地は羽織裏、羽裏と呼ばれ、絵柄がゴージャスなのは額裏(がくうら)とも呼ばれる。

羽織単衣仕立て

生地が二重になっていないもの。当然ながら羽織裏はない。

画像のように肩のあたりにだけ別布が縫いつけてあることもあるけど、これは羽織(生地)のすべりをよくするための「肩すべり」というもの。

羽織単衣仕立て(薄物)

羽織にも薄物はあるけど実用性はほとんどない。冠婚葬祭などで着る場合を除けば単なるオシャレ用だ。

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基本的に生地は絽などのスケスケ生地。画像のように羽織から長着や帯の色柄がうっすら透けて見える。古着で黒っぽいのがよく売ってるけど、背中に家 紋が入ってることがほとんどなのでその点注意。

袖なし羽織

羽織から袖をはずしてベスト(チョッキ)のような形にしたのがこれ。普通の羽織は女物でもあるけど、袖なし羽織は男物にしかないというか見たことが ない。戦国時代の武将がよく着ている「陣羽織」もこの一種だろうけど、モノはかなり別物っぽい。

背 中がちょっとあったかい程度で、それこそベスト感覚で使う。画像は袷仕立てだけどもちろん単衣仕 立てでもいい。ただし、これの上に通常の羽織を重ね着するのはナシ。上に着るのなら角袖やとんびなどのコート類だ。

羽織紐を取り付ける「乳(ち)」

ほとんどの羽織の襟(内側)の胸あたりには、小さな突起物というか輪っかのようなものがある。これは、羽織紐を取り付けるための「乳(ち)」という箇所。

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羽織紐の先にはこれまた小さなS字型の金具がついていて、それをこの乳に引っ掛けることによって羽織紐を取り付けるわけ。

この箇所がなくなると羽織紐を取り付けられなくなるので、へんな突起があるからとハサミで切ってしまったり、羽織紐を強く引っ張って引きちぎってしまわないように注意してほしい。

ちなみにもし乳が損傷してしまった場合、仕立て屋さんなど専門店へ持っていけば修繕してくれる(有料)し、最悪自分でどうにかできなくもない(自己責任)。

使い分けなど

ジャケットや上着のようなものなので、日常着普段着の範囲であれば着てもいいし着なくてもいい。着ていたとしても、もちろん気温や状況で着脱してか まわない。

防寒用として使うのであれば、着脱も考えて袷仕立てのものだけでもいい気がする。もちろん単衣仕立てや袖なし羽織など、使いたい人はお好みでどう ぞ。

長着と羽織が同じ生地でセットになっているアンサンブル(対)も、セットで着なければいけないわけではないので、裄丈など寸法上問題がないのなら別 の長着と組み合わせてもOK。

おまけ:羽織の襟はなぜ裏返す?

普通は羽織を着た場合、羽織の襟は外側へ(後ろ襟は半分だけ)折り返して着るんだけど、実はこれ、羽織の襟や紐の位置によって、

A:一般的な羽織のように襟の内側に乳がある、あるいは本来乳がある部分に紐があって襟に縫い付けられていないもの は、襟を裏返して着る。

B:ちゃんちゃんこや温泉旅館の羽織などのように襟に紐が縫い付けてあるものは、襟を裏返さずそのまま着る。

という法則がある。ちなみにオレの持ってる袖なし羽織は、普通の羽織から袖を外しただけなので着方も普通の羽織と同じままだ。

補足解説:お世話になってる仕立て屋さんより

羽織の襟を裏返すのは、羽織の襟の仕立て方(縫い方)によるものです。

普通の羽織の襟は、内(裏)側を先に縫って外(表)側を後 で縫います。そのため、襟を裏返さずに着ると、目立たなくしているとはいえわずかに縫い目が見えてしまいます。それを隠すために襟を裏返して着るわけで、 その着方に合わせて内(裏)側に乳をつけます。

逆に襟の外(表)側を先に縫って内(裏)側を後で縫った羽織であれば、裏返すと縫い目が見えるので裏返す必要はありません。そういう作りの羽織 は、襟に紐を縫い付けてあるはずです。温泉の羽織やちゃんちゃんこなどがだいたいそうなってます。

袖なし羽織も襟の縫い方によって裏返すかどうかが決まります。よって、襟を裏返して着るものもあるし襟を裏返さないで着るものもあります。

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