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今さら人に聞きにくいFAQ:使い方編

和服(着物)に関するなんとなく他人に聞きにくい疑問質問のうち、着方や使い方についてまとめてみた。これ以外のことも「区別編」「仕立て方編」としてまとめてあるので、そちらも参照してみてほしい。

羽織の襟はなぜ裏返すのか?

ごく一般的な羽織を着た場合、羽織の襟は外側へ(後ろ襟は半分だけ)折り返して着るのだが、実はこれ、羽織の襟や紐の位置によって、

A:一般的な羽織のように襟の内側に乳(羽織紐を引っかける輪っか)がある、あるいは本来乳がある部分に紐があって襟に縫い付けられていないものは、襟を裏返して着る。

B:袖なし羽織や温泉旅館の羽織などのように襟に紐が縫い付けてあるものは、襟を裏返さずそのまま着る。

という法則があるのだ。ちなみに私の持ってる袖なし羽織は、羽織紐を別に装着して襟を裏返して着るタイプだ。

<理由:お世話になってる仕立て屋さんより>

羽織の襟を裏返すのは、羽織の襟の仕立て方(縫い方)が原因です。

普通の羽織の襟は、内(裏)側を先に縫って外(表)側を後で縫います。そのため、襟を裏返さずに着ると、目立たなくしているとはいえわずかに縫い目が見えてしまいます。それを隠すために襟を裏返して着るわけで、その着方に合わせて内(裏)側に乳(羽織紐を引っかけるところ)をつけるのです。

逆に言えば、襟の外(表)側を先に縫って内(裏)側を後で縫った羽織であれば、逆に縫い目が見えるので裏返す必要はありません。そういう作りの羽織は、襟に紐を縫い付けてあるはずです。温泉の羽織やちゃんちゃんこなどがだいたいそうなってます。

袖なし羽織は襟を裏返さずに着るものではなく、襟の縫い方によって裏返すかどうかが決まります。よって、襟を裏返して着る袖なし羽織もあれば、襟を裏返さないで着る羽織もあります。

なぜ大島紬は礼装に使えないのか?

もはや高級着物生地の代名詞的存在の大島紬。男物によく使われるのが亀甲柄と呼ばれる亀の甲羅のような柄がいっぱいある生地だ。

高級であるがゆえに、どんな場所に着ていっても大丈夫で人気者と思われがち。どこでもかしこでも着て行きたがる人が多いのだが、実は礼服、特に「葬」ではアウト。ただしこれは大島紬だからではなく、柄物の生地だからダメ(「衣装」は別)という考え方なのだ。

単純な話で、フォーマルは基本的に「無地」が和服洋服問わず共通の最優先事項。そして、柄物はいくら高級なものであろうともカジュアル。亀甲柄の大島紬も一応後者に分類されるわけ。

よって、冠婚葬祭など、礼節が必要な席では使わないのが普通。「自由に着る、オシャレ」と「礼節やマナー」は別問題(解説)だからな。

逆に言えば、大島紬、あるいは他の紬シリーズ、あるいはウールだろうが木綿だろうが、生地を問わず無地ならOKと考えられる。なに?紬織りはもともと普段着だったって?じゃあ価格も普段着価格に交渉してくれよ。

実際は、冠婚葬祭で和服を着る時にはローカルルールがある場合もあるので、詳しくは他のページで調べたり、それぞれの主催者に問い合わせて確認するように。しかし、女性の着物は礼装でも柄が……それは私に聞くな。ウチは男物専門だ(おい)。

どこぞの著名なオバチャンは「お茶席に大島紬はダメ、という決まりはありません!」と言ってるようだが、どんなお茶席でもOKかというとそうではない。くだけた雰囲気のお茶席か、はたまた流派の会合のようなお茶席か、その状況によって柄物の着物がOKかどうかは変わる=TPOが必要(解説)ということだ。著名人でも、ギャラのためにはテキトーなことを謳うので用心用心。

浴衣を長襦袢代わりに使えないのか?

自分でいろいろ工夫して考えながら着物を着ている人は、必ずと言っていいほどこの「浴衣を長襦袢代わりに使ってみてはどうか?」という発想にぶち当たる。大丈夫、私も以前考えたことがあるから、恥ずかしいことではない。

結論から言うと、浴衣はちゃんとした単衣長着(着モノの正式名称)として仕立てられているので、やはり長襦袢ではなく長着として使うのがスジ。だから浴衣の下に襦袢を着るのはOKだし、各自のセンスで長襦袢ではなく重ね着用として使うのもアリ。

長着と長襦袢では構造(仕立て方)が微妙に違っていて、長襦袢代わりに使えないポイントは襟の厚みと前幅(前身頃+襟)の2カ所。

長着と長襦袢の襟を触ってみると、長着の襟はややモコモコしている(襟に厚みを出すための布きれが中に入っている)が、長襦袢の襟は比較的薄くペッタンコのはず。簡単に言えば、浴衣のそれは肌着(襦袢)用の襟にはなっていないのだ。

また、実際に浴衣を長襦袢として着て、その上から別の長着を着て歩いてみればわかるだろうが、裾がかさばってすごく歩きにくいはずだ。ヘタをすれば、長着の裾の上に浴衣の裾が乗っかってしまうかもしれない。なぜこんなことが起こるかというと、長襦袢(この場合は浴衣)と長着の裾=計4枚の生地が交互に重なり合うので、摩擦力?で裾がさばけにくくなるためだ。

長襦袢はそれを少しでも解消するために、前幅を狭くして重なる部分を減らしているわけ。単衣の重ね着が2枚重ねた状態で着る(解説)のも、これを考えてのことなのだ。

自分も考えたことがあるからではないが、この発想自体はすごくいい。すごくいいのだが残念ながら「実戦向け」ではないのだ。

なぜ浴衣の時は足袋をはかないのか?

世間一般では、男女問わず浴衣を着るときには足袋を使わないとされている。しかしホントのところは、浴衣を着ているときに足袋をはいてもぜんぜんOK。こんな事を書くと「そんなバカげたことを言うな!」と言われそうだが、そんな着物のルールは存在しないのだ。

ただし、ごくごくフツーに考えれば、使わない「ほうがいいかも?」の理由はすぐわかる。浴衣ではなく「夏場に着るもの」としたらどうだろうか?そう、単純に「暑い(暑苦しそうに見える)から使わないほがいいかも」というのが理由のひとつであり、浴衣にかぎらず夏場の暑い時期に着るのであればはかなくてもいい(もちろんはいてもいい)のだ。

あとは、やはりTシャツ短パンのような軽装のイメージなので、いちいち足袋をはくのもアンバランスかも、といったところ。他にも私が思いつく理由があるのだが、それは「人間の目の錯覚」が原因だと思われるので省略。

早い話、足袋は和服の靴下と捉えて問題はないので、洋服の時に靴下をはかない(はく)、あるいははきたくない(はいたほうがいい)状況ならそれに倣えばいいだけだ。

「襦袢を着ているときには足袋をはく、着ていないときははかない」というのも的外れではないのだが、着ていてもはかないときはあるし、着ていなくてもはくときはあるので、「洋服なら靴下をはくか否か」で判断したほうが簡単だろう。

羽織を着ていないのが着流しなのか?

最近では「羽織を着ず、長着(+襦袢)しか着ていない状態」を指すように言われているが、正確には「羽織を着ていても袴をつけていない状態」がすべて着流しになるようだ。

歌舞伎や能などのバックバンド?の人たちも、羽織は着ていなくても必ず袴はつけているはず。動きやすいからだって?あの人ら、ほとんどずーっと座りっぱなしなんですけど。

おそらく昔は、礼装以外はすべて普段着扱いだったのではないだろうか。それを指す言葉として「聞き流す(適当に聞く)」と同じ意味合いで「着流す(適当に着る)」だったのかも。よって、袴の云々だけではなく、礼装以外=着流し、が正解かもしれない。

私は学者さんではないので、疑問があれば各自調べるように。

Last 2010/09/10. Copyright (C) since 2007 バカガエル.