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男物の襦袢→特殊なインナー?

長着と肌着の間に着る、ちょっと特殊な存在が襦袢(じゅばん)。襦袢単独で着るものではなく、普通は長着と併用する。洋服で例えるなら、アンダーシャツやインナーシャツのようなものかな。

普段着日常着の範囲であれば、必ず着なければいけないものではない。暑かったり邪魔くさかったりすれば、着なくてもかまわない。

※長着:一般的に着物と呼ばれる「モノ」の正式名称。単語解説

長襦袢(ながじゅばん)について

「襦袢」と名前がつくものには、いくつか種類がある。その中で一番メジャー?なのが長襦袢。長着と同じような形状をしていて、袷仕立てと単衣仕立てがある。色柄は長着に比べて派手なのが多い。

袷仕立ての長襦袢

長着と同じく裏地があるもの。表と裏で生地が違う。

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正面から見れば特に柄はなくとも、背中や裾にだけ柄があったりする。こういった柄が袷仕立て、ではなく、オレの持ってる袷仕立ての長襦袢がたまたまこういった柄だった、というだけ。

単衣仕立ての長襦袢

長着と同じく裏地がないもの。裏側に見えてるのは表生地の裏。襦袢自体がインナーなので、長着のように肩すべりや居敷当てはない。

全体に柄があるから単衣仕立て、ではなく、オレの持ってる単衣仕立ての長襦袢がたまたま総柄だった、というだけ。

あと、長襦袢にも絽などスケスケ生地(薄物)のものがある。さすがにこれは単衣仕立てしかないんじゃないかなと。

実際に使ってみたら、いくらスケスケ生地でも暑い時期に長襦袢を着るのはやっぱり暑い。使う使わないはお好みで。冠婚葬祭用ぐらいに考えてもいい だろう。

半襦袢(はんじゅばん)と肌襦袢(はだじゅばん)

長襦袢以外にも、半襦袢、肌襦袢というものがある。

半襦袢

長襦袢と違って、着丈が腰あたりまでしかない。おそらくそれが理由で「半」襦袢。

長襦袢と違って柄がないけど、柄がないから半襦袢、ではなく、参考画像の半襦袢がたまたま柄がないってだけ。長襦袢のような色柄の半襦袢も持ってるよ。

腰から下がないので暑い時期用……というわけでもなく、着る人の使い勝手で、オールシーズンいつでも着ていい。オレは暑い時期は当然着ないけど、逆に暑い時期以外で袴を併用するときに着ている。

ちなみに「ウソツキ半襦袢」というものもある(画像のは、確かそうだったような)。ただこれ、本体が白い綿生地で吸汗性があり、肌着や下で解説する肌襦袢を着なくてもい(着てもいい)ってだけなので、普通に半襦袢と呼んでいいかと。

肌襦袢

ざっくり言うと着物専用の肌着。上で解説した襦袢類の下に着るもの。形状がなんとなく半襦袢に似てるけど、こちらは肌着なので間違えないように。

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半襦袢と肌襦袢の違いは袖の形状と襟の幅。袖の形状が「筒袖」といって、シャツの袖のようになってることが多い(ただし、筒袖の半襦袢もあるにはある)のと、襟幅が半襦袢の半分ぐらいしかないのが決定的な違い。

他の襦袢の襟は、長着の胸元から多少出すし半衿(後述)を付けるけど、肌襦 袢は他の襦袢の下に着るので、襟を出す必要もなく見えなくてかまわない。

それと、着物を着るから肌着は肌襦袢を、というわけではなく、U首シャツなど普通の肌着でもぜんぜん問題ない(解説)。こういうものもあるよってことで。

襦袢の色柄や使い分けについて

襦袢は色柄が派手めなものが多いけど、長着を脱がない限り人様の目には まず触れないので、無地でもぜんぜんOK。もちろん色柄にこだわりたい人はご自由にどうぞ。

え?人様の目に触れないのにこだわる必要あるのかって?そりゃアンタ、お風呂があるでしょうよお風呂が。銭湯など大衆浴場以外にも、2人きりで入るお風呂もあるでしょ?……子供じゃないんだから野暮な こと聞きなさんな(笑)

分類の関係で袷仕立ても載せたけど、現代の気候や空調施設のことを考えると、実用的には単衣の襦袢だけでも充分かなと。もちろん、住んでいる 地域の気候やその人の体質などにもよるので、これまたお好みで。

襦袢自体、もともとは着物専用の肌着だった。それが時代と共にいろいろ変化してきて、今では長着の下に着る重ね着用というか、お洒落的な要素で着られるようになった。冒頭でも書いたように、平時なら着ても着なくてもいいし、好みで長袖シャツなどを使ってもいい(解説)

ちなみにオレは、その年の気候にもよるけど暑いなあと思う時期、だいたい6月から10月ぐらいまでは襦袢は着ない。それ 以外の着るときでも、長着の下だから脱ぐに脱げないので、ほぼ単衣仕立てのものしか使わない。

襦袢だけの話:半衿(はんえり)

ほとんどの襦袢の襟には、本体とは別の生地が縫いつけてあって「半衿(はんえり)」と呼ばれている。ウチの表記は「襟(本体)」と区別するために、全ペー ジ通して 「半衿」としているけど「半襟」でもたぶんOK。

もともとは、襦袢の襟を汗汚れや擦り切れから守るためにつけられてた、当て布というか補強用の生地だったけど、長着の胸元から多少襟を出すのもあって、現代ではお洒落的な要素も強い。

汚れたり擦り切れたりしたらもちろん交換してOK、気分で交換してもOK。裁縫を頑張れる人は自分で交換してもいいし、苦手な人は仕立て屋さん に頼んでもいい。

ただし古着や既製品の襦袢だと、たまに襟と一緒に縫われてることがあって、半衿を外そうとしたら襟も外れそうになるものもあるので注意。

半衿用の生地はいろいろ売って いるけど、既製品である必要はないので、手ぬぐいやはぎれなどで作ってもいいだろう(解説)

襦袢だけの話:関東仕立てと関西仕立て

袷仕立て単衣仕立て、着丈の長短といった分類とは別に、襦袢には関東仕立てと関西仕立てという仕様がある。

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両者の違いは襟の形状で、襟がまっすぐになっているものは関東仕立て、襟先が長着のように飛び出しているものは関西仕立て。古着や既製品は関東仕立てが多いけど、最近は関西仕立てになっているものも出回っているみたい。

これの構造はというと、仕立て屋さんに聞いたところ、関西仕立ては襟に襟を重ねてるというか、長着の襟とおくみのような作りになってるらしい。

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関西仕立てのほうが、元の襟幅分前幅が広がるので、オレのようにお腹が出てる人にはゆったり着られて都合がいいって仕組み。逆に細身の人は、関東仕立てでもさほど問題はないと思われる。

あとすごく細かいことを言えば、着たときの襟(半衿)の角度が変わるので、長着の胸元から見える半衿のバランスが変わる…… これは自由研究レベルの話かな。

ちなみにオレがやってもらってるように、関東→関西に作り替えることは充分可能。逆の関西→関東も可能だけど、襟部分の処理の関係で剥いだ跡が若干残るものの、半衿の下に隠れるので着用上問題ないかと、とは、仕立て屋さんの弁。

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