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和服(着物)を買うコツと価格表示について

和服、特に着物は、初めて買うときにどういった買い方をすればいいかわかりにくい。一般人には誤解を生む可能性のある価格表示も未だにあるので、買うときのコツと価格表示について解説しておこう。

和服(着物)の品質や価格もピンキリ

和服(着物)の買い方は主に、古着(解説)、仕立て(解説)、既製品(解説)、の3通りがある。詳しくはそれぞれ別のページで解説しているけど、簡単に言えば和服も洋服と同じで品質も価格もピンキリ。

ただ、洋服は海外国内に洋服自体のブランドがたくさんあって、それが品質と価格の目安?になっている。着物の場合はそういったブランドがあまりない(あるにはある)けど生地自体にはブランドがいくつかあるので、着物の品質や価格は生地(反物)で左右されているとも言える。

ブランド品といえど古着だと安くなるのはどちらも一緒かな。

「身の丈」に合った着物を

「身の丈」とは自分のサイズのことではなく収入や生活環境のこと。無理な買い物をせず身の丈にあった着物を買うのは大事。

どんなにモノが良くても、自分の予算(収入)で賄いきれないものを買う必要はない。以前は店側のローンを利用した強引な売り込みもあって、社会 問題にまで発展したケースもあるらしい。

たかだか着るモノ、着物だけに「無い袖は振れない」の格言よろしく無理はしないように。ただし「無 理」の範囲は人それぞれなので、そこは各自で判断しておくれ。

あと、意外と忘れられているのが維持管理(主に洗濯)のこと。

着 物も服である以上いつかは洗濯することになる。たまに着る一張羅ならまだしも、頻繁に着るのであれば 洗濯の回数も当然増える。それでもクリーニング屋に頻繁に出せる懐具合があればいいけど、ないのであれば……「汚(お)着物」着るかい?

普段着日常着として着るのであれば、生地が化繊や木綿(綿)など自宅で洗濯しやすい生地や自分で 洗濯する「度胸」のある価格帯のものを買うようにしたほうがいいだろう。

いくら木綿生地でも10万円で買った衣服を洗濯するのは怖いだろうし、逆に正絹 生地でも数千円で買った古着なら気軽に洗濯できるかと。

同じ1万円でもモノが違う

一見すると同じように見える「◯◯が1万円」でも実際の内容は違うことがある。特に初めて着物を買う人は、事前に自分が必要なもの(解説)をリストアップしておいたほうがいいだろう。

どういった買い方をするかは人それぞれだけど、どの買い方をするにしても「買うのは自分、着るのも自分」なので、繰り返すけど無理のないように自分が必要なもの満足するものを上手に買ってほしい。

着物セット1万円:一式

ポイントは「セット」という部分で、着物を着るのに必要なもの一式が1万円、という意味。セット内容によるけど履物までついていれば買って着てすぐ出かけられるわけ。夏場の浴衣販売で見かける「浴衣セット」がいい例。

着物関連グッズをいっさい持っていない人なら、まずは一式を揃えなければいけないので価格だけで判断(←重要。品質も考えるように)すれば便利でお得。

着物(以外もある)1万円:単品

これは主に長着(着モノの正式名称)など各パーツが1万円、という意味。古着はこの販売方法が多い。パーツごとに売っているので、当然ながら必要なパーツを揃えないと着ることができない。

長着を着るには帯が必要だし、長襦袢や羽織だけ買ってしまったら「どうすんのこれ?」状態。買ったはいいものの他のパーツがないから着られない、でも他のパーツを買うお金がない!などとならないように。

着物の反物(生地)1万円:材料

これは着(る)物として完成する前の生地=材料が1万円、という意味。当然ながら縫製しないと着ることができないので、縫製代(仕立て代)が別途必要になる。「仕立て」がこれに当たり、普通の着物屋はこの販売方法であることが多い。

1万円で売ってたのになんで3万円も払わなきゃいけないの?!などとならないよう、その価格が着物のことなのか反物のことなのか、必ず店側に確認するように。

価格に関する補足説明

今まで書いたことで買い方はだいたいわかったと思うけど、価格について補足説明をしておこう。

縫製代(仕立て代)

仕立て代とは、生地を裁断して着物に縫い上げる「工賃」のこと。この作業は主に仕立て屋という専門の職人さんが行っており、着物屋も生地から着物の注文を受けた場合、基本的に取引のある仕立て屋に依頼する形をとっている。

仕立て代は店舗、仕立て方によって異なる。袷仕立てに関しては、表生地だけでなく裏生地も必要(もちろん購入)な点に注意。他にもオプション的な工程(別途料金)があることもある。料金など詳しくは店舗に聞いておくれ。

探せば、着物屋経由ではなく仕立て屋に直接持ち込むことも可能で、古着の仕立て直し(解説)や、自分で生地を安く調達してきて仕立てを依頼するなど(解説)もできる。

参考上代、希望小売価格

特 にネット販売において「参考上代」「希望小売価格」といった表記をしている場合があるけど、これらはいっさい 無視してOK。値引き前提でお得感を演出するための「見せかけの価格」のようなもの。

本当は「だいた いの相場」のようなものがあるらしいけど、それを知っているのはよほど着物に詳しいごく一部の人だけなので、どんな に割引率が高くても書籍の裏に記載してある「定価」ではない以上、ホントにお得かどうかが不明なわけ。

ただし、そんなセコイ真似をせず真面目に営業している着物屋もちゃんとあるので、なんでもかんでも値引き要求をしないように。

おまけ:浴衣が15万円?!

昔飲み屋で、オレが着てる浴衣を見て結構高かったんじゃないの?と聞いてきて(新品で)5千円ですよと答えたら、目ん玉ひんむいて口開けてフリーズしたお客さんから聞いた話。

夏場、その人の行きつけの店で「浴衣のお客様はボトル1本サービス」があったらしく、着物類を持ってなかったその人は某デパートに浴衣を買いに行ったそうな。浴衣がほしいと店員に告げて……最終的に買ったのは浴衣ではなく総額15万円?の夏着物フルセットだったとか。

話を聞く限りではモノは良さそうだし、わからなかったとはいえ選んだのも買った(それだけの懐具合もあった)のもその人だから、仕方ないっちゃ仕方ない話。

でもこういう売り方をする着物屋も(いまだ)あるので、特に初めて買う場合は、着物に詳しい人と一緒に行くか、事前にどういったものが必要なのか、予算はいくらぐらいまでなど、自分の「要望」をしっかり持つようにしてほしい。

いろいろ話を聞いたあと、そのお客さんはこう付け加えた。

「それだけ良い物なら、ウチの息子が着ることもできるだろうね。もっとも、興味を持ってくれればいいけど」

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